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ある地名の風景

桜散る、おとめ山の緋鯉    otomeyama

神奈川の箱根に”乙女峠”という地名があります。
昔、バイク乗りの友人が、週末になると
「乙女峠をせめる」なんて話していました。

”乙女”が付く地名は全国にあります。
栃木の小山市・大分の宇佐市に”乙女”、
滋賀の高島市に”乙女ヶ浜”、山梨の牧丘町に”乙女高原”、
奈良の河合町に”乙女山古墳”・・・

若い女の子を連想しがちですが
この”乙女”いった何でしょう?

前回の”落合”周辺をうろついていて見つけたのですが
実は都内にもありました。

山手線の高田馬場と目白の間、
線路からちょっと離れた西側に
”おとめ山”という公園があります。

住居表示でいうとここも下落合です。

なだらかな斜面を活かした自然公園で、
明治から戦前は近衛家や相馬家の屋敷地だったそうです。

でもその前、”おとめ”の意味は江戸時代にありました。
ここを訪れた人は目にしているかもしれませんが、
公園の案内板にしっかりと書かれています。

「このあたり一帯は将軍家の狩猟地で
立入禁止の意味の”御留山”だった・・・」

なるほど・・
いつもなら難癖をつけたくなるのですが
妙に納得してしまいました(笑)

おもだった”乙女”の地名を調べてみると
半分以上はこの「御留」に由来するようです。

水戸藩では禁漁の川をやはり”御留川”といったそうです。
その他、樹木の伐採禁止の山も同じく”御留山”。

となると残り半分の”おとめ”は・・
気になります。

でも正直、これについての説を見たことがありません。

一つだけ思いつくのが
関東や東北にある”おとも”という地名との関連です。
表記は小友・乙母・乙茂など

私はこの”おとも”が”おとめ”と同じ意味を持つ
地名ではないかと疑っています。

しかし、肝心の”おとも”もはっきりしません。
”乙”の字形に曲がった地形なんて説もありますが・・
うーん、これはちょっと(笑)

ちなみに箱根の乙女峠は
江戸時代の初め、ここに関所を設けて一般の通行を禁止したため
元はやはり”御留峠”でした。

(新宿区下落合)

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