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とりあえず、盗んでくださいっ!

書店で本を買うと、たいてい
「カバーをつけますか?」
と聞かれる。

「いえ、そのままでっ!!」

ふだんはモゴモゴ話すタイプだが、
コレだけはかなりハッキリ伝えている。


だって、欲しかった本だもの。

本の表紙絵やデザインを、
見せ見せに見せびらかして読みたいのだ。


電車の中でも、ちょっとでも読めるスペースがあれば、表紙もタイトルも見せ見せで読んでいる。

ミイラだろうが、土偶だろうが、伊藤潤二だろうが、隠したりはしない。

見せびらかされる恐怖…


すると、近くにいる人の中から出てくる…


「何読んでるんだ?」

と、チラチラのぞきこんでくる人が。


しめしめ…(ニヤリ)

気になるなら、
読書ドロボウしてくれてかまわないっ!


そしてぜひ、本を買ってくれっ!!



という感じで、
好きな本を拡散している気分なのだ。


逆に、カバーをかけずに読んでいる誰かの本を、こちらが読書ドロボウさせていただくこともある。

自分でも本を広げながら、怪しく周りをキョロキョロ…

今日もそんなことをしていたら、

少し離れた席のおじいさんが本を取り出した。


失礼いたします…

忍び寄ってみると、それは文庫本だった。

お茶をこぼしてしまったのだろうか?

ページにはシミやヨレが…

お世辞にもキレイとは言えない状態だが、よく使い込まれたカバーがかけてある。

ちょっと盗み見ただげでも、長年、愛されている本だとわかる。

カバーがかかっていても、見えるものもあるんだなと、なんだか心がほわっとした。


とりあえず、今日は読書ドロボウできなかったけれど、明日はまた、どんな本に出会えるか楽しみだ。

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