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【あがり症】核心的な話:成功体験はどのように脳に働くのか?

あがり症克服のために
トライアンドエラー
(セルフ人体実験ともいう)を
繰り返した、ロン毛のあがり症です。


“あがり症の改善には、成功体験が効く”


私はこのことについて、
手を変え品を変え、発信しています。


実際に、私が経験したことですし、

さまざまな文献を調べた結果や、
あがり症の仲間との情報交換の結果からも、
確信を持っています。


(私が、「人前で話さなければ、
 人前で話せるようにはならない」

 発信しているのも、この確信に基づいています。)


ということで、今回のテーマは、
「成功体験はどのように脳に働くのか?」です。


このレベルまで突っ込んで
発信しているのは私だけかと、、、


今回も、あがり症の方を勇気づける、
核心的な内容
となっています。


是非、最後まで読んでみてくださいね!


今回は、専門書を引用しながらお伝えします。
(私の、知識を深めるのに役立った一冊です。)


扁桃体のおさらい


今回の内容を理解するためには、
脳の一器官である“扁桃体”の働きを
知っておく必要があります。


もはや、私のnoteでイツメン化した
“扁桃体”ですが、
簡単におさらいしておきますね!


脳の一器官である“扁桃体”の役割は、
自分の身に迫った脅威を察知すること。


例えると、このような感じです。

扁桃体は、迫ってくる自動車との衝突の可能性や、恐ろしげな通りがかりの人といった脅威を感知すると、視床下部と脳幹へただちにメッセージを送り、ストレスホルモン系と自律神経系を動員して、全身の反応をまとめ上げる。

〜中略〜

私たちが危険について意識的に自覚しないうちに、入ってくる情報が生命の維持にとって脅威になるかどうかを判断する。何が起こっているかに私たちが気づいたときには、体がすでに動きだしている場合がある。

体はトラウマを記録する P103
ベッセル・ヴァン・デア・コーク


このように、“扁桃体”は、
無意識のうちに身に迫った危機を察知し、
身を守るための行動をとらせます。


例えば、過去に人前であがってしまって、
恐ろしい思いをした方。


そのような方は、人前に立ったり、
その場面を想像するだけで、
激しく緊張するようになることがあります。


それは、扁桃体が、「人前で話すこと=危険」と
察知したからなんですね。


超ザックリの説明ですが、
お分かりいただいたでしょうか。


ここからは、脳のメカニズムについて、
一つ一つ、順を追って説明します。


情動記憶の固定

情動記憶が長期記憶となる場合は、扁桃体外側核の中で、関係する細胞の核を介して蛋白合成が行われ、神経の形態学的機能的変化を引き起こしているのではないかと考えられている。これを情動記憶の固定と呼ぶ。

P47


難しい言葉でいっぱいですね、、、


なるだけ、わかりやすい言葉で
説明するので、ご辛抱ください。


まず、情動とは、怒り、恐れ、喜び、悲しみなど、
一時的で急激な感情の動きのことを言います。


そして、情動記憶とは、その記憶のこと。


この情動記憶は、扁桃体の中の
神経が変化することにより、
長期記憶として保存されているそうです。
(これを、情動記憶の「固定」と言います。)


あがり症の方は、過去に、
人前であがってしまった経験があると思います。


それによって、その時の”恐怖”の情動記憶が、
扁桃体に「固定」されてしまったということですね。



だから、人前に立ったり、その場面を想像するだけで、
扁桃体が反応し、激しく緊張してしまうんです。


では、この情動記憶を
どうすれば消すことが出来るのか?


次に、情動記憶の「再固定」について説明します。


情動記憶の再固定

再度同様の刺激が生じたとき、その情動記憶はいったん不安定となり再び記憶の固定化が行われる。これを情動記憶の再固定と呼ぶ。情動記憶は再度刺激が生じてから再固定まで不安定になるのでそのときが治療チャンスである。

P47


前段で、情動記憶の「固定」について説明しました。


その「固定」後に、再び同じような
刺激にさらされると、固定された情動記憶は、
一時的に不安定になるということ。



そして、その後に再び「固定」されます。
(これを、「再固定」といいます。)


そして、今回一番伝えたかったことがこれ↓↓↓


「情動記憶は再度刺激が生じてから
 再固定まで不安定になるので、
 そのときが治療チャンスである」ということ。



どういうことかというと、
あがり症の方は、人前で話す場面で
扁桃体が危険を察知し、激しく緊張します。


その緊張している状態こそが、
情動記憶が「不安定」になり、
「再固定」できる治療のチャンスだということ!



これは、声を大にして言いたい!


少し変えて、もう一度言います。


「緊張している状態こそが、良くなるチャンス!」


つまり、緊張しながら話すから、良くなるんです。


裏返せば、緊張していなければ、
治療のチャンスにはならないということ。


だから、緊張しないと意味がない。


これは、メチャクチャ重要なことなので
覚えておいて欲しいです。


それでは最後に、成功体験が脳を変える
ことについてお伝えします。


成功体験が脳を変える(情動記憶の消去)

他人の注目を浴びる社会的状況を受けた後、安心して過ごせた経験を繰り返すと嫌悪の情動記憶が弱まってくる。これを情動記憶の消去と呼ぶ。

P47


前段で、
「緊張している状態こそが、良くなるチャンス!」
ということについて、しつこい位にお伝えしました。


もう、うすうすお気づきかと思いますが、
緊張する場面に自分を置き、「大丈夫だった」
という経験を、繰り返しするのが大切です。


そうすれば、元あった恐怖より、幾分弱まった状態で
「再固定」されるため、徐々に恐怖の度合いが
弱まってくるということ
ですね。

(これを「消去」と言います。)


まとめ


今回は、
「成功体験はどのように脳に働くのか?」
についてお伝えしました。


今回の内容は、私が重度のあがり症を
改善させた過程と、完全に合致してるんですね。


ちなみに私は、日常生活や、
人前で話す練習会等で、自分の出来そうなことから
段階的に成功体験を積みました。


(この、”自分の出来そうなことから段階的に”
 というのがポイント。)


その結果、徐々に、
緊張が弱まっていったということです。


まさにこれこそが、扁桃体に刻み込まれた
“恐怖の”情動記憶が消去されたということですね。

(壁を乗り越えたと思えるまでに、約3年!)



さて、先日私は、
「セルフエクスポージャー」
提唱させていただきました。


セルフエクスポージャーとは、

自分の意志により、苦手とする場面に自分を晒す。
それにより、恐怖・不安を減らしていく。


ことです。


この、
「自分の意志により」、「自分を晒し」
「恐怖・不安を減らしていく」

というのが大切なんですね。


これは、「逃げの姿勢」ではありません。


「戦略的」かつ、「攻めの姿勢」で、
「主体的」に、あがり症を改善させるという
前向きな姿勢です。



例を挙げるとすると、

人と目を合わせられない方だったら、
少しだけ目を合わせることに挑戦してみる。


他にも、

人との会話に不安を感じる方だったら、
まずは、ひと言、挨拶することに挑戦してみる。


もちろん、それには耐え難い苦痛を伴うでしょう。


私自身がそうだったので、すごく分かります。


しかし、今回お伝えしたように、

緊張しながら話し、
「大丈夫であった」ことに意味があるのです。



回復の鍵は、自分の苦手な場面にあります。



最後に、ことわざをひとつ紹介して終わります。


それは、「雨だれ石を穿(うが)つ」です。


その意味は、

「雨垂れが長い年月の間に石に穴をあけるように、
どんなに小さな努力でも、根気よく続けてやれば
最後には成功する。」

ということ。


まずは、小さなチャレンジからで構いません。


勇気を出して、立ち向かえば、
いつか壁を突破する時が来ます。


一歩づつ、前向きにいきましょ!


私の体験談が、
皆さんのあがり症克服の
お役に立てれば幸いです。

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