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秋晴れ嬉しい釣り曜日

釣糸垂らして水面下

睨んでも濁った水の色

水中に何がいるのかどうか

見ても分からない

竿を握ってぷかぷか漂う

ウキの変化に注視しながら

ぼんやり雲一つない空の下

ふあぁあと欠伸

目尻に涙

喉が渇く

穏やかな湾の中の釣り堀で

昼下がりの太陽を全身で

受け止めてジリジリと

肌を焼く

さっきから

ぴくりとも動かないウキの横を

まったりのんびり

これみよがしに泳ぐ

一匹の鯛が憎たらしい

むしろたも網で捕まえて

今晩のご飯にしてやろうかと

さえ思えてきてしまう

釣果は芳しくはないが

天気には恵まれた

秋晴れ嬉しい

静かな釣り曜日

とんびたちが飛び回り

獲物を上空から見つけては

急降下してパシャリと

小魚を捕まえていく

ぴょろろろと

さえずり勝鬨を上げていた

人間よりも賢い猛禽類たち

潮の香りに包まれて

桟橋が心地良く揺れる

猫たちが釣りの様子を

しばらく離れたところに

座ってこちらを見ていたが

やがてため息をついて

他の釣り客の方へ歩いて行ってしまった

釣り糸はまだ動かない

穏やかな水面の下で

僕の思惑はどんな塩梅で

魚たちには見えてるんだろうか

何が起きるかは

まだまだ分からない

もしかしたら次の瞬間には

期待していた以上のものが

釣れるかも知れない

期待するには

2時間のボウズは

なかなかに辛口で

現地味のある数字だ

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