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八潮団地には青春がある

てくてく歩く道を行く
どこに続く道なのか
そんなのみちみち考えよう
もしも行き止まりなら
壁をうんしょと越えればいい
戻れない道はない 今日も進もう

こんな歌を歌って歩きたい場所が東京にはある。

品川区八潮団地。

東京なのにどこか東京でない、住んでいなければ全く行く用のないこの地のどこが青春なのだと言われてしまうだろうが、それでも私はこの地に特別な想いを抱き、東京に出たら絶対に行こうと心に決めていた。
上京して間もなく2年が経つという頃、やっと行くことができた。

そんな「何もない」土地、都心から電車とバスを乗り継ぎ約1時間をかけてそんな場所に行く理由はただひとつ。
私が愛する嵐5人が主演を務めた映画「ピカンチ」シリーズの舞台なのだ。

男5人の日常。
高校卒業間近、それぞれの道を選び始めた1作目。「ピカ☆ンチ LIFE is HARD だけど HAPPY」
20代半ばで今の生活を見つめ直した2作目。
「ピカ★★ンチ LIFE is HARD だから HAPPY」
30代に入りこれからの人生を考えていく3作目。
「ピカ☆★☆ンチ LIFE is HARD たぶん HAPPY」

大人になっていくにつれ悩みや抱えているものは変化していくが、それでも5人は常に前を向き続けていた。
5人で歩いていた1本道は、やがて5本になった。
だがそれらはこれからも交わり続けていく。どんなに遠くに向かう道でも、どんなに変な曲がり方をしていても、それは他の4人と限りなく交わる。

「青春に終わりはない、
勝手に終わらせる奴がいるだけだ。」

30代の青春を描いたあと、映画の原案者・井ノ原快彦はそう言った。

あの地に足を踏み入れたときのワクワク感。
初めて来たのに、とても懐かしかった。
覚えている、覚えている場所ばかりで。

私はきっと今、「LIFE is HARD だから HAPPY」と人生上の同じ期間にいるんだよなと思う。だからこそ、ここで生きていた彼らに想いを馳せる。
彼らは何を思い、何を守ろうとし、何を信じていたのか。

あの場所に行けばいつでも青春になる。ただ必死に毎日を生きる空気がある。
実際にあの地に住む人がどうかは知らないが。少なくとも映画を観た私にはそう映る。
青春が何か具体的な定義はよく分からないけれど、とにかく私は毎日に夢中でいたいんだなあと思った。

だからきっとまた行くだろう。
何年経っても変わらずにある場所だから。

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