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愛ゆえに、大卒。

大学4年。
あと、卒業論文を書けば次の春には卒業だ。

こう見えても真面目にやってきたので、3年までに卒論以外の単位は全て取り終えた。就職活動が終われば、残りの時間の多くを卒論の執筆に充てる学生生活になる。

義務教育から始まった長い長い学生生活の最後の締めくくりを、自分が選んだ、自分の好きな学問で全うできるのだから大学はいい場所だと思う。
特に演劇を学問として選んだ私にとっては、「趣味」か「学問」かの線引きが曖昧な、言ってしまえば「趣味」をただ突き詰めて研究し、論じることで「学問」に見せかけ、それが「学問」として許されているような大学生活だった。
その最後となる卒業論文には、本当の「好き」を突き詰めたい。

そんな私が卒業論文のテーマに選んだのは、
「岡田准一」 だ。

中学1年の頃に好きになった。たまたま観た彼の主演ドラマで惚れ込み、気付いたらファンに。
ちょうど同じ頃、ドラマの制作の仕事をすることを夢見始めた。
高校に進学し、ドラマ制作の仕事に近づけるような大学を目指して勉強。演劇を学べるこの大学を受験した。
推薦で受けた大学受験では、面接で好きな映画を聞かれた。迷わず彼の主演作を答えた。面接官に、「岡田准一が好きなのか」聞かれた。正直に「はい」と答えた。
大学に入学後、好きな劇作家について研究する授業では、彼を好きになったきっかけであるドラマの脚本家を取り上げ、そのドラマについて分析。
大学3年には、卒業論文の前身となる発表で「岡田准一のアクション」を研究。彼が振り付けし、自ら主演を務めたアクション映画について分析した。

そしてついに、この「岡田准一」を追い続けた大学生活を「岡田准一論」で締めくくることに決めた。

「観る」ことで心を動かされ続けてきた彼の演技や哲学を、「言葉」で説明するのは正直難しい。
しかし、卒論の担当の先生には「愛があればモチベーションになるでしょ」と言われた。難しいとは分かっていながら、どうしてもこれをテーマにしたいと思った私の心が答えなのだと思う。

私の大学生活は「岡田准一」のためにあった。


将来の夢のために選んだ学問でも、正直その仕事に就けるのかは分からない。就職活動に苦戦する今も、その未来は想像できないままだ。この学問を選ばなくても就けるような職業になる確率のほうがはるかに高い。
そこに関する不安については今は置いといて、
大学を卒業すると、私は「大卒」の学歴を得ることになる。それは私の肩書きに一生付き纏う。
大卒は何かと有利だし、もし全く違う学問を選んでいたとしてもその肩書きだけで役に立つことはたくさんあるだろう。

だけど私の「大卒」は肩書きじゃない。
私が岡田准一を愛した証になろうとしているのだ。
愛するものを追い続けた大学生活は、決して肩書きを作るための工作でも嘘でもなかった。

「好き」がここまで人を動かし成長させるのだから、人間に必要なのはやはり「好き」の気持ちなのだろう。
まだ何も始まってはいないが、彼を愛する気持ちを証明できるのならば頑張りたい。

それで得られるものが「大卒」の学歴ならば一石二鳥だ。

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