見出し画像

パニック障害 「休んでいいんだよ」

長い間電車に乗れない期間を過ごしたのち、パニック障害からくる予期不安にそれほどおびえなくなって少し電車に乗れるようになりました。

が、ある日電車に乗ったところ予期していた不安が訪れ、発作が起きそうになりました。私の発作は「ここから出してほしい!黙って立ってられない!叫んでしまいたい!」という強い衝動が訪れるのです。一番怖いのは「叫んでしまいたい!」です。電車内で叫んだら当然注目を浴びますし、どんな風に自分が扱われるかわかりません。ただこの衝動にかられると、脈拍が上がりもういてもたってもいられなくなります。

その時、発作が起きそうな時の自分の体の状態に目を向けることができました。

もう背中がものすごく硬直し出していて、全身緊張しきっていたのです。そこに気が付いて、ふと体の力を抜く努力をしてみたら、すこーし、ほんの少しですが楽になりました。

以前は発作が起きそうになると、自分の体に気が行くなんてことは一切なく、不安と緊張感をどう鎮めようかで精いっぱいでした。そしてもう一つ気が付いたのは発作に襲われるのはほとんんど立っている時だということです。

少し、そんなことに気が付くようになっただけでも私は救われた気がしました。それまではとにかくパニック発作、予期不安に完全に包囲されていたわけですから。

メカニズムはよくわかりません。発作が起きそうになって、気持ちの上で物凄い緊張感と不安に襲われ、そして体も硬直したようになって行く。精神的なものがスタート地点だと思うのですが、ふと肩の力を抜くようなしぐさをしたら、少し解放されたという...

この方法がどんな方にも効果があるとは思ってはいません。かつて私は指のツボマッサージというのを教えてもらって、発作が起きないようにとおまじないのように指をもみもみしていたこともあるのですが、あまり効果はありませんでした。この方法は最初は通院していたクリニックの精神科医から教えてもらい、ネットにも似た方法が出ていました。

医師から教えてもらった方法には指のマッサージの他にもうひとつあって、それは左右片方ずつの耳から聞こえてくる音に集中し右に3秒気持ちを向けたら次は左に3秒というようなメソッドも含まれていました。

のちに医師はその方法には効果がないと言っていましたが、思うにこれは放っておくと勝手にどんどんどんどん凝縮していってしまう精神状態を散らすような意味が込められていたのではないのかな?と今になって思います。

パニック発作が起ころうとしている時、私はもう自分の気持ち以外何も気を配れないくらいの状況になりますから。

ここまで書いていてふと思ったのですが、私が重度のうつ状態になった過程は、ほんのひとつあるいは二つの事柄に物凄く集中して、寝る時間も惜しんでエネルギーを注ぎ、疲れも忘れ、いや感じることができないくらいまで到達し、そしていつか自分の心や体がその緊張感やエネルギー放出に耐えることができなくなったということだったような気がします。

うつ状態になったら休息が必要とよく言われますが、今思うと「休むこと」を心も体も思い出す必要があるという意味に思えます。

いつのまにか休むということを忘れてしまった自分に、もう一度「休む」ってどういうことかを思い出してもらう。

ある日精神科の受診を終え、調剤薬局に処方箋を持って行った時のことです。優しい感じの女性が受け付けてくださり、「がんばったのよね。ほんとにがんばったのよね。これからは少し休んでね」と言葉をかけてくれたんです。それまでこういう言葉をかけてもらったことはありませんでした。

なにかと格闘してパニック障害やうつ状態になったとして、そして今度はそこから抜け出ようとまた格闘する。

そんな時、誰かが「休んでいいんだよ」って声をかけてくれることはとても大切な気がしてなりません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?