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Instagramのソーシャルリスニング入門/マーケティング活用ポイント

ソーシャルメディア上の生活者の声を収集・分析し、マーケティングに活用できるソーシャルリスニングは、Instagramのように画像・動画投稿が中心のプラットフォームの分析でも役立ちます。今回は、Instagramのソーシャルリスニングで何が分析できるのか、活用ポイントとともに紹介します。

【1】Instagramのソーシャルリスニングで分析できること

まず、Instagramのソーシャルリスニングによってどんなデータが取得できるのか、ざっくり見てみましょう。ソーシャルリスニングは使用ツールにより取得できるデータが異なりますが、今回はソーシャルメディア・アナリティクスツール「Brandwatch」を例に見ていきます。

【Instagramのソーシャルリスニングで取得できるデータ*】
対象:Instagram上のフィード投稿
集計単位:最小単位を分とし、分・時・日・週・月・曜日別で集計
指標:各投稿のいいね!数、コメント数、トータルインタラクション数**、リーチ数***、メディアタイプ、センチメントの種類
抽出可能な要素:頻出ハッシュタグ・キーワード・絵文字

*仕様は、Brandwatchを使用した場合の内容を記載。2021年10月13日現在。
**いいね!数とコメント数の合計値。
***フォロワー数、いいね!数、コメント数の指標をもとに、特定の投稿を見たと推定される人の数を算出したもの。

目的の期間や指標をもとに投稿データを集計し、分析できるという点では、当noteでこれまで紹介しているTwitterのソーシャルリスニングと同様です。


【2】Twitterのソーシャルリスニングとの違い

しかし、Twitterのソーシャルリスニングでは取得でき、現時点でInstagramのソーシャルリスニングでは取得できないデータもあります。

【Instagramのソーシャルリスニングでは取得できない主なデータ*】
●オーサー(投稿アカウント)関連
・ユーザーネーム、フォロー数、フォロワー数、認証バッジ有無、ロケーション**
・アカウントタイプ(個人/企業)、ジェンダー

●投稿関連
・インプレッション数(リーチ数は取得可能)

*仕様は、Brandwatchを使用した場合の内容を記載。2021年10月13日現在。
**それぞれ一覧形式で確認できないが、投稿ベースで確認することは可能

Twitterのソーシャルリスニングと比較すると、プラットフォームからのデータ取得の仕様上、現時点でInstagramではオーサーのデータが取得できないという違いがあります。ただ、取得した投稿ベースでオーサーの主な情報は確認できるので、それをもとにオーサーの抽出・掘り下げ自体は可能です。


【3】Instagram ソーシャルリスニングで実際に分かること

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ここからは実際にツールを使ってソーシャルリスニングを行い、投稿データから具体的に何が分かるのかを紹介していきます。

ソーシャルリスニングは検索クエリー(キーワード)を用い、投稿データを取得します。今回は例として、「Instagram上のコスメ関連投稿の分析」を目的とし下記にてソーシャルリスニングを行っていきます。

【目的:Instagram上のコスメ関連投稿分析】
検索クエリー*
:"#コスメ" OR "#美容" OR "#メイク"
集計期間:2021年9月16日〜2021年10月5日の3週間

*コスメ関連投稿を幅広く取得するため、「#コスメ」または同ハッシュタグとともに多く投稿されている「#美容」「#メイク」を検索クエリーに設定。

この検索クエリーで取得した投稿データをもとに、ソーシャルリスニングで把握できる内容をまとめると以下になります。

☑ソーシャルリスニングで分かること:基礎編

①期間中の投稿数・推移

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任意の期間で投稿データを集計し、期間中の投稿数・推移が把握できます。投稿数が増加したタイミングとその話題の深堀りに役立てることができ、例えば日次で集計しグラフに描画すると上記のようになります。

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上のグラフのように投稿データを曜日・時間帯別などで集計すれば、投稿の増加傾向を細かく見ることができます。今回取得したデータからは、コスメ関連の投稿は金曜、20時台が投稿数が多くなる傾向があるといえます。

※投稿日時はBrandwatchがInstagram APIにて収集したデータをもとに算定

②投稿の内容・エンゲージメント

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検索クエリーで取得した投稿の内容(投稿した画像・文)、いいね!数やコメント数などが把握できます。目的の指標で投稿をソートすれば、リーチ数やエンゲージメント数が多い投稿の抽出=インフルエンサーの発見にも役立ちます。

③投稿の主なトピック

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取得した投稿データの中で主に語られているトピック(話題)が可視化できます。投稿で頻繁に使用されている単語やフレーズのうち、メインの話題にあたるものが円の内側に、サブの話題にあたるものが外側に表示されます。

関連する話題は円の内側と外側に隣り合って表示されるため、例えば、取得した投稿データの中で「ダイエット」という単語を使って投稿を行っているユーザーがどんな文脈で投稿しているか、どんな単語と組み合わせて投稿しているかの把握に役立てることができます。

④投稿の頻出ハッシュタグ・キーワード・絵文字

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投稿でよく使われているハッシュタグ(画像上)やキーワード(同下)などが把握できます。特定のハッシュタグやキーワードを含む投稿内容の深堀りや、企業アカウントの投稿(ハッシュタグ精査)に役立ちます。


☑ソーシャルリスニングで分かること:応用編

⑤競合との投稿割合の比較(SOVの把握)

検索クエリーで取得した投稿データをブランドごとに分類すると、企業/ブランドやサービス・商品に関する投稿割合を競合比較(SOV=Share of Voiceを把握)することができます。

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例えば、今回取得したコスメ関連の投稿データのうち、ブランド名*を含む投稿を分類することで、上のグラフのようにブランドごとの投稿割合・推移が把握できます。

*@cosmeの「コスメ総合ランキング」(2021年10月11日)の上位30ブランドをもとに、ブランド名ごとに検索クエリーを設定。

⑥トピックごとの投稿数・割合の比較

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投稿データの分類を活用すれば、任意のトピックごとに投稿数・割合が比較できます。例えば、Instagram上でどのカテゴリのコスメが多く投稿されているのか知りたい場合、コスメのカテゴリ(スキンケア、ベースメイクなど)ごとに分類すると、上のグラフのようになります。検索クエリーを含む投稿を行なったユーザーが興味があるトピックの把握に役立ちます。


まとめ:Instagram ソーシャルリスニングの活用ポイント

最後におさらいとして、 Instagramのソーシャルリスニングで分かること、マーケティング活用のポイント、その具体例をまとめました。

☑ソーシャルリスニングで分かること:基礎編
①期間中の投稿数・推移
・投稿数が増加したタイミング・傾向とその話題の深堀り
例1:商品・サービスのクチコミ数などの定量調査
例2:ハッシュタグ投稿企画などキャンペーンの効果測定

②投稿の内容・エンゲージメント
・リーチ数やエンゲージメント数が多い投稿の抽出
例1:商品・サービスの評判などのブランド調査・エンゲージメント分析
例2:商品・サービスの認知拡大を目的としたインフルエンサー分析

③投稿の主なトピック
・主に語られているトピック(話題)の可視化
例:企業アカウントの投稿企画・訴求軸の検討

④投稿の頻出ハッシュタグ・キーワード・絵文字
・ハッシュタグやキーワードを含む投稿内容の深堀り
例1:商品・サービスの評判などのブランド調査
例2:企業アカウントの投稿内容の精査

☑ソーシャルリスニングで分かること:応用編
⑤競合との投稿割合の比較
・企業/ブランドやサービス・商品に関する投稿の競合比較
例:InstagramにおけるSOVの把握

⑥トピックごとの投稿数・割合の比較
検索クエリーを含む投稿を行なったユーザーが興味がある話題の把握
例:Instagramにおける消費者ニーズの把握

ループス・コミュニケーションズでは、Instagramをはじめ、ソーシャルリスニングの戦略立案から導入、運用サポートまで、ソーシャルリスニングのビジネス活用支援を行っています。まずはお気軽にお問い合わせください。

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