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もうすぐイースター

昼過ぎ。母さんが玄関から、
「なおくーーーん! アンドレアさんから荷物届いたよーーー」と叫ぶ。

毎年恒例、イースターの荷物が届いた。

ちょうど腹減ってきたし、イースターは今週の日曜日だけどもう食っちゃお、と思った瞬間、テレグラムがメッセージの着信を告げる。

"そろそろ荷物が届いた頃だと思うけど、まだ開けるなよ"

送信者は、早朝のイタリアでまだ眠っているはずのアンドレアだった。

あいつ、僕の乗る飛行機だけじゃなくて、送った荷物もストーキングしてるんだ...と、ちょっと引きつつ短歌を詠む。

Ecco arrivato!
per Pasqua l'uovo grande.
È mozzafiato!

Preparerò bevande,
cucinerai vivande!

(日本語訳)
やったぁ、着いた!
でかいイースターエッグ・チョコレート。
ガチで最高!

僕は飲み物を用意するから、
お前は料理を作って!

それをやつに送ると、

Pasqua di cioccolata

Finalmente è qua!
Inizia l'abbuffata!
Cosa ci sarà?

Burro e marmellata?
O tanta cioccolata?

(日本語訳)
チョコレートのイースター

ついに ここに!
パーティが始まる! (←すげぇ食うタイプのパーティ)
何が入っているかな?

バターにジャム?
それともたくさんのチョコレート?

タイトルで『チョコレートのイースター』って言っちゃってんじゃん

と、秒で帰ってきた。

その二時間後、僕たちはSkypeを繋いで荷物を開封することに。
カメラに映った黄色い箱を見て、アンドレアが、
「ああっ!」と、声を上げた。

「なんだよ?」

「角をぶつけた形跡がある!」

「角...? あぁ、確かにちょっと潰れてるけど、これくらいどうってことないだろ。お前、普段は大らかなのに、どうしてパスクワのときだけそんなに神経質になるんだよ」

「中にイースターエッグ・チョコレートが入ってるからに決まってるだろ。卵が割れたら卵じゃなくなる(?)」

残念ながら卵は二つとも卵じゃなくなっていた。

どうせ食うときに割るんだから、そんなことどうでもいいけど。

240328


追記

春が来て
もう溶けたはず

雪だるま
でも二人とも

覚えてる
楽しんだのは

僕だけじゃ
なかったのだと

今更わかる

240329