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SA・HO・U ~砂法~ 【エッセイ】

※砂糖沼で修行中のロッタは、某サイゼ○ヤにて、シナモンプチフォッカと対峙していた。


ぷっくりと膨れたフォッカ。キツネ色の焦げ目。
そして、サラサラサララ………)))

「ジャリジャリ…まっこと、美味なり」

紙ナフキンでそっと口元を拭う。
不覚にもテーブルに落ちてしまったそれを見て無念さが滲む。

気を取り直し、再度フォッカをマッハで口へと運んだ。が…

グフッ!   危うくむせるところだった。

すると、突然店内が暗くなり、私のテーブルがにわかにブクブクと液化してゆくではないか。そこからスポットライトに照らされ演歌歌手のようにせり上がってきたのは…?

「ワシは砂糖沼に棲む仙人ぢゃ」(おしり探偵のマルチーズ署長ふう)

登場してすぐの自己紹介、助かる。

「そなたが落としたのは、白い砂糖か?それとも黒い砂糖か?」

サイゼリ○のシナモンプチフォッカ

おいでなすった。
ここで正しい答えを導き出さねば、私は砂糖沼から永久に追放されてしまう。(なんでや?)

「黒…」 ハッ⚡
ステイ、ロッタ。パッと見の色に惑わされるな!本質を見るのだ。
「と、見せかけて白…」
ウェイッ、ウェイトゥ、ロッタ!これは白砂糖であってただの白砂糖にあらず。

「フォフォッ、答えは『白い砂糖』でよろしいか?」
「あいや、待たれよ!」
黒か?白か?はたまたブラウンか?

「そなたの落としたのは?さあ!答えるのぢゃ!さあ、さあ!」

人が考え中だってのに、卓球少女のような「さあ!」を繰り出すのはやめてくれ!

「答えは…」
「答えは?」
「…」

そのとき、まるで走馬灯のように、これまで食してきた甘味、スイーツ、砂糖沼住人の皆さんの優しい笑顔が脳裡をよぎった。そして、あの香りが…

「私が…私が落としたのは、シナモンシュガー!!」

「大当たり~~!🎊 なのぢゃ~」

🍭

下らなすぎる白昼夢から醒めた私は、ドリンクバーでコーヒーを淹れて席に戻った。
冷めないうちに、シナモンフォッカを食べなくては。

フォッカの上のシナモンシュガーは、サラサラと皿に落ちてゆく。
そんなことでどうするロッタ?フォッカにしっかりと押し付けまとわせるのよ!
プレーンのフォッカをシナモンフォッカたらしめているのはシナモンシュガー。
砂糖沼の住人たるもの、シュガーを無駄にしてはならない。

ある程度の『シナモンシュガー纏わせ』は実現できた。
しかし、皿にはまだかなりの量のシナモンシュガーが取り残されている。

私は周囲に視線を走らせ、呼吸を整えた。
手元にはティースプーン。震える手でシナモンシュガーをすくい、瞬時にそれを口の中へ!

グフッ! 
美味しい。美味しいが、シナモンが勝ってスパイシー。砂糖に甘やかされた舌と精神が混乱してきた。

「そうだ!奥の手があった!」

閃いた!←というより確信犯

私は、ティースプーンでシナモンシュガーをすくうと、それを皿からカップへ移した。

シナモンコーヒー☕ここに完成。

「おいし…すぎる」

「フォッフォッフォッ、合格ぢゃ!」
「砂糖沼の仙人!」
「それでよい。砂糖に敬意を表し、極力砂糖を無駄にしない。その心構えが…すなわち砂法SAHOUなのぢゃ」

🍭

砂糖沼の仙人は、私の妄想だったのかもしれない。(だから、そうだよ!)
しかし、皆さんがもしプチシナモンフォッカを注文されることがあるならば、どうかこのフィルターを通して砂糖と向き合ってほしい。
羞恥心が砂法という美徳でまぶされ、美味しいひとときへと変えてくれるだろう。

have a good sugar!👍✨


~完~


最後まで読んでいただき、ありがとうございます🍀
貴重なお時間を、本当にありがとうございます!

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