見出し画像

「マイノリティのジレンマ」

邱紅梅著「生理痛は病気です」読了。中国の産婦人科医として数多くの女性の生理不順と向き合ってきた著者が中医学、東洋医学の観点から生理痛の原因や正しい対処法について解説し尽くした1冊。

「中国人にとっては生理痛がない」

日本の女性にとってはにわかに信じがたいエピソードから、本書は始まる。

中国では女性の健康を最優先に考える風土が伝統的に根づいており、女性本人も幼い頃から「生理との向き合い方」について母親から徹底的に教え込まれるため、そもそも生理痛が生じる可能性すらゼロに近いという。

充分な睡眠と栄養、適度な運動、生理中の充分な休息……要するに若い頃から体に負担をかけず、「人間らしい生活」を続けていれば重い生理痛に悩まされることもないらしい。

日本では生理というと、ちょっとした論争の火種である。女性がマイノリティとして生理痛への理解を求めるためにはある程度大々的なキャンペーンや論陣が必要だが、声が目立ちすぎるとマジョリティ(と思い込んでいる側)から無用の攻撃に遭う。

さらに、攻撃そのものがマイノリティの叫びを悪目立ちさせ、孤立させる。結果として、無関心なその他大勢には「生理問題=ややこしい問題」としか映らない。

マイノリティのジレンマはここにある。

本書で挙げられている「健康で当たり前の生活」をビジネスや家事で忙しい現代の日本女性がどの程度実践できるかはわからないが、国をまたいで学ぶべきことは多いのではないだろうか。

この記事が参加している募集

休日のすごし方

わたしの本棚

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?