「重度身体障害者が見た(平成)」
清水真人著「平成デモクラシー史」読了。1989年から2019年まで、31年にわたって続いた平成という時代を主に政治と民主主義の視点から綴った1冊。
政治の視点から綴られているということで、自民党の成り立ちから連立政権の歩み、民主党政権の凋落まで、平成以前の政治史についても網羅されており、読むだけで教科書的な知識が身につく。
私にとっての平成は、幼少期から思春期そのものだった。高校に入学する年にちょうど支援費制度(障害者自立支援法の前身である)が施行され、さらに成人してWebライターとして働きはじめる頃には障害者総合支援法が国会で可決した。
それよりもさらに前、90年代前半には障害者雇用促進法、2000年代にはハートビル法が成立し、まがりなりにもバリアフリーやノーマライゼーションが概念として社会に浸透しはじめた。
その意味では、重度身体障害者は平成という時代に振り回され、弄ばれたと言っていいかもしれない。
そして、平成から令和へ。
少々不遜な言い方が許されるなら、天皇の生前退位そのものが「平成」という時代の象徴なのではないだろうか。平成という時代があらゆる既成概念を打ち破る時間だったとするなら、生前退位という形で身をもって時代の空気を体現した天皇は間違いなく時代の象徴であった。
ちなみに、日頃から小難しい専門書を何冊も読みこなし、事あるごとに読解力の大切さを説いていた父親は生前退位にあたっての天皇の長いお言葉をテレビで聞いて、「とにかくまあ、やめたいってことなんだろうな」と言っていた。
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