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映画「LOVE & POP」を見たが……



 あらゆる文化の流行には周期性があるという。
豪奢のもの次には、簡素なものが。
清楚なものの次には、アナーキーなものが。

 そして現在、2023年には「平成レトロ」「90年代リバイバル」ブームが到来している。例えば渋谷の街では古着コーデで身を包んだ若者が闊歩し、tiktokでは広瀬香美の楽曲がまたウケたりしている。

 そういった意味で、90s後期の世界をタイムカプセルのように保存したこの映画、「LOVE&POP」は若者のバイブルとして非常に重要でありうるだろう。



 しかし、「タイムカプセル的」。このワードは全く異なった2つの意味を持っている。90s特有のオシャレな音楽や編集を味わえる美味しさ、というのがひとつ。

 もうひとつはバブルが崩壊し、援交、オウム事件、阪神淡路大震災といった社会不安の蔓延した陰鬱な感じ。

 もちろんどんな時代を切り取ってもいいことばかりではない。いいことの裏側にはわるいことがある。そんなことは当たり前だ。

 だけれどこの映画では、陰鬱さ、というのが胸を刺すほどにありありと迫ってくるのだ。



 それはひとえに、監督と原作者の作家性にかかることが大きいだろう。

 なんていっても庵野秀明×村上龍である。
 あのエヴァと、あの透明に近いブルーを産んだ二人が交わればそりゃあ…って感じもしなくないだろう?
 しかもお互いの個性は終始爆発しつつ、邪魔することはなくむしろ引き立つようになっている。

 例えば映像面においては、なめものアングルいわゆる実相寺アングルがこれでもかと徹底され、時々映るテロップは非常に庵野っぽくて気持ちが悪い(褒め言葉)

 脚本面においても、(おわっている)大人が少女たちに変態行為を迫ったり恫喝したりする様は、非常にコインロッカーっぽく村上龍的で気持ちが悪い(褒め言葉)

 


 そんな感じで、なんだか庵野、村上ファンが何か言っているだけの感想になってしまったな。

 だけれどそれ以外にも、CorneliusのFANTASMAが広告として映っているシーンでは感動のあまり声を出してしまったし、レトロなカラオケでスピッツが歌われているのは、やっぱいいなぁと思った。

 

 総括!

 90sカルチャーに少しでも興味を持っている人はとりあえず、「LOVE&POP」、あと「IWGP」っていうドラマなど見てみて欲しい!



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