『アクムのアクマ』ミニ小説③
「ここだよ。」
ゆんちゃんは、こちらを振り向いて言いました。私は怖くて、ゆんちゃんを握る手に少しだけ力を込めました。
面白いところがあるけど見てみない、と誘われてついてきたところには、大きな古い洋館のようなものが建っていました。それは、指先でちょんと触れただけでクシャっと崩れてしまいそうな、でも、どれほど大きな隕石が降ってきてもはじき返してしまいそうな、ちぐはぐな印象の洋館でした。奥にはおかしな形の月がプカプカと浮かんでいて、建物を妖しく照らし出していました。
「ねえ、はいっ