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読書メモ:ナンシー関の名言・予言

基本情報

『ナンシー関の名言・予言』
ナンシー関
2013年2月1日 発行

2002年に亡くなった消しゴム版画家、コラムニストであるナンシー関。各種雑誌に掲載したコラムをまとめた一冊。没後22年が経っているが、いつか必ずナンシー関の著作は読もうと思っており、今回いよいよ手に取った一冊である。

構成としては、見開き右側に当時雑誌に掲載したコラムがまとめられており、左側に補足が追記されている。掲載が、1990年~2000年であるため、登場する話題、テレビ番組、芸能人も今では亡くなっている方やすっかりおみかけしなくなったが多く出てくる。

感想

没後22年も経っており、出てくる人物が愛川欽也や冝保愛子、当時首相だった細川護熙等どうしても「時代」を感じざるを得なかった。そして、私自身同時代を生きてはいたが、1990年~2000年だと幼稚園から中学生の時のであり、なんとなくの空気感の感覚はあるにせよ物心がつくぐらいの年齢である。

令和の現在に読むと一番感じるのは、メディアの中心がまだ「テレビ」だったということである。2000年近くになるとインターネットの話が少しだけ出てくるものの基本はテレビやテレビCMに出てくる芸能人に関して、画面を超えて見える(ナンシー関は、これを『顔面至上主義』と言っている)芸能人の本質、真の姿を切り取っているが、あくまでも「テレビ」というメディアを経由したものである。テレビが中心であれば、表裏があり、論評できると思うが、今だとテレビの地位が下がり、YouTubeやX等SNSも拡大し、芸能人によっては裏表も本音もどこかでのメディアで自ら語っており、論評する対象ではないのかもしれないと思った。(ある意味で語る価値のデフレ)

そうは言っても令和の現在もブームになるようなものはあり、売れる芸能人もおり、厳しい状況ながらもナンシー関のような鋭いコラムニストが生まれてはこないだろうか(『プロインタビューアー』だが、吉田豪だって活躍しているし)と思わされた一冊だった。



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