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読書メモ:桑田佳祐論

基本情報

『桑田佳祐論』
スージー鈴木
2022年6月20日発行

国民的バンドのサザンオールスターズの楽曲や桑田佳祐名義の楽曲における「歌詞」の深みを掘り越している本書。
著者は、1966年生まれで、桑田さんの10個下になり、私とは、1984年生まれなので、著者とは18歳差、桑田さんとは28歳差になる。
基本的に年代順に著者がセレクトした楽曲毎に歌詞を掘り下げていく形式で書かれている。

構成

第一章 胸騒ぎの腰つき(1978~1985)
1.サザンオールスターズ≪勝手にシンドバッド≫
2.サザンオールスターズ≪女呼んでブギ≫
3.サザンオールスターズ≪いとしのエリー≫
4.サザンオールスターズ≪C調言葉に御用心≫
5.サザンオールスターズ≪働けロックバンド Workin' for T.V≫
6.サザンオールスターズ≪チャコの海外物語≫
7.サザンオールスターズ≪よどみ萎え、枯れて舞え≫
8.サザンオールスターズ≪夕方Hold On Me≫
9.サザンオールスターズ≪夕陽に別れを告げて~メリーゴーランド
~≫
第二章 米国は僕のヒーロー(1986~2010)
10.KUWATA BAND≪スキップ・ビート(SKIPPED BEAT)≫
11.桑田佳祐≪遠い街角(The wanderin' street)≫
12.桑田佳祐≪真夜中のダンディー≫
13.桑田佳祐≪すべての歌に懺悔しな!!≫
14.サザンオールスターズ≪マンピーのG★スポット≫
15.サザンオールスターズ≪愛の言霊 ~Spritual Message~≫
16.サザンオールスターズ≪平和の琉歌≫
17.桑田佳祐≪ROCK AND ROLL HERO≫
18.桑田佳祐≪声に出して歌いたい日本文学〈Medley〉≫
第三章 20世紀で懲りたはずでしょう?(2011~2022)
19.桑田佳祐≪月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)≫
20.桑田佳祐≪明日へのマーチ≫
21.サザンオールスターズ≪栄光の男≫
22.サザンオールスターズ≪はっぴいえんど≫
23.桑田佳祐≪ヨシ子さん≫
24.桑田佳祐≪君への手紙≫
25.坂本冬美≪ブッダのように私は死んだ≫
26.サザンオールスターズ≪ピースとハイライト≫
終章  桑田佳祐と戦後民主主義(1945~2022)

感想

私とサザンの最初の出会いは、当時小学生でドラマの主題歌として何気なく聞いた「涙のキッス」である。本格的に聞くようになるのは、高校に入り大のサザン好き、かつ佐野元春、爆笑問題・伊集院光好きの友達と仲良くなり、教えてもらうようになってからである。
また、2001年高校2年の時にフジテレビで「桑田佳祐の音楽寅さん(第一期)」が始まり、桑田さんの人となりも知るようになり、より親近感を持つようになっていた。

高校以降も引き続き、サザン・桑田さんの楽曲を聞いており、(私の中では、ドラマ「プロポーズ大作戦」の主題歌であった「明日晴れるかな」がベスト)

正直に言うと桑田さんに限らず、音楽を聴く際に「歌詞」をつぶさに聞いて、意味を考えるということをしてこなった。桑田さんに関しては、曲先行で、音・歌詞にはこだわるが、深い意味をあまり持たせてはいないようなイメージがあったため、どのような分析・考察がされるのか興味があり手に取った一冊である。

著者も最初は「歌詞そのものがどうこうというより、日本語の歌詞を、どうビートに乗せるか、絡ませるかという方法論の開発が桑田の最大の功績」と言い歌詞には注目していなかった。著者が40歳を超えたことから心にブスッと刺さることが多くなったということもあり、本書で掘り起こすことを試みられている。

確かにふと歌詞に集中して聞いた時に「風刺だな」とか「エロいな」とか守備範囲の広い音楽が制作されていることは感じていた。

また、最近では2022年に佐野元春、世良公則、Char、野口五郎の同級生5人で発売した「時代遅れのRock'nRoll Band」や「Relay~杜の歌~」のように以前にも増してメッセージ性を全面に出すことも増えてきたように思う。

それでもシャイで、時に笑いをまぶして「大衆性」を失わないからこそサザンオールスターズ・桑田佳祐は愛され、J-POPのど真ん中に今もいるということが感じられた一冊である。
「~論」という形で、語られ本にまとめられる音楽家は多くはなく、存在の大きさ、希少性を改めて感じさせられた
1ファンとしてこれからもどんどん音楽を作り、いろいろ聞かせて欲しい。


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