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野球業界に関わっている教育者【魔改造はなぜ成功するのか】倉野信次著

「投手コーチって何をしてるんだろうか」

一軍の試合を見ていると、
投手が打たれ始めて調子が悪くなった時に
ベンチから出てくる印象しかありませんでした。

私はそこまで詳しくありませんが、
夫の会話に出てくるため、
今誰がやっているかなんとなくわかる程度。
(来シーズンは斉藤和巳さんですね)

以前読んだ工藤前監督や王会長の本とは
また違った目線で書かれています。

2人は選手として
一流の成績を収めて引退しましたが、
著者の倉野氏は自身のことを
「一流の投手にはなれなかった」とのことです。

野球の本というよりも
「野球業界にいる教育者の本」
いう方がしっくりきます。

本書には、
武田翔太投手、千賀滉大投手以外にも
石川柊太投手、加治屋蓮投手(現在阪神)も登場。

ファンの方はエピソードを読むだけでも
楽しめるのではないかと思いました。


・努力すれば、いつか“どんな形であれ“報われる。

一軍で結果を残して、
引退後にコーチになる人たちを見ると
長い間、結果を出し続けたイメージがありました。

実力も知名度も高い印象。
しかし、著者のエピソードを聞くと
苦難の連続とすら感じました。

高校入学時にスポーツ推薦の話もあったものの、
高卒で入っても結果を残せないと思い、
大卒でプロ入りを目指します。
そのためには、都内の六大学に入らないといけないと考えたため、地元の進学校へ入学。

倉野氏が通ってた高校では過去に1人、
慶応大学のスポーツ推薦で入学した方がいました。
それを狙って頑張ってきたけど、
残念ながら落ちてしまったそうです。

しかし、その年の夏の試合で
甲子園出場一歩手前まで行ったそうです。
慶応大学とは別の大学から
推薦をもらって大学に入学。

大学時代も、3年生まではドラフト1位で複数の球団が評価していたそうです。
しかし、4年生でスランプに陥り
結果が出せなくなりました。
その後、ホークスにドラフト4位で入団。

戦力外通告になった時に、
トライアウトを受ける前に「育成コーチにならないか」と言わましたが、断ってトライアウトに挑戦。

どこの球団からも声がかからなかったそうです。
その後、フロント入りを打診されて承諾。

これらのエピソードから、
「自分の努力を見てもらえた」と著者。

「もう無理だから」と投げやりになったり、
諦めてしまったりしていたら、
こんな話はなかったんじゃないかと
読者の私も思いました。

思い通りにいかなくても不貞腐れず、
やるべきことをやっていたら、
道が開けると学びました。

・手書きの反省ノート

今やっているか分かりませんが、
著者が三軍でコーチをしていた時は
やっていたそうです。しかも手書き。

うまくいったこと、いかなかったことや
課題点を書かせてやりとりをしていたとのことです。人によっては、提出用とは別にノートを用意していた人もいました。

ただ闇曇り練習するのではなく、
「越えなければならない課題は何か」と
考えなきゃいけないと勉強になりました。

・短所を修正させること

多くの投手コーチが、フォームのおかしいところを修正させようとしがちとのことです。

それに対して著者は慎重です。
「短所を修正させようとすることで、長所も同時に消えて、何もなくなってしまう可能性もある」と。

短所を修正させるのは、
基礎体力を徹底的に鍛えさせてから、
本人が自覚できないレベルで修正させるそうです。

この事例を子育てに当てはめると、
短所克服に必死になると、
元々持っている長所まで潰してしまう可能性が
あるかと仮定。

短所克服するにしても、
慎重にならないといけないと考えさせられました。

・感想

私がホークスを応援するようになったのは、
2009年からです。
夫と付き合い始めた次のシーズンからです。

2008年は福岡ドームで
登録制のバイトをしてました。

バイトしていた当時は、
予告先発を聞いても、一部の有名選手を除いて「誰?」と思ってました。

一緒にバイトをしていた人は、お客さんに聞かれて「何で知らないの?」と言われたそうです。
さらに「働いてる人間がみんな野球に詳しいと思わないでよ。生活のために仕事してるだけだから」と愚痴をこぼしてました。

未だに野球や選手のことなど、
わからないことはたくさんあります。
「野球については、夫に聞くのが一番」
未だにそう思ってます。

私自身は、そこまで詳しくないですが、
「いい選手をどう育てているだろうか」と
興味を持ってます。

野球にあまり興味なくても、
部下や子どもなどがいる人にとっては
学びのある話と感じました。

監督とは違った視点ですが、「コーチも選手の人生に責任を持っている」と感じました。

現在、著者はアメリカの球団で修行中。
ホークスに戻ってくるのを楽しみにしてます。

以上、ちえでした。
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