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生きているけど、知らない時代【エレクトリック】

1995年、あなたは何歳でしたか。

私は7歳で、小学生になった年です。
当時、宮崎に住んでました。

阪神淡路大震災やオウム真理教について、
うっすら記憶があります。
どちらのニュースにしても遠い世界の話でした。

著者は私より10歳年上です。
幼い私が分からなかった当時の状況が伝わってきました。

・懐かしいインターネットの話

チャット、掲示板…懐かしい言葉が出てきました。
私がインターネットを使い始めたのは小学5年生です。

当時、インターネットどころか、家にパソコンがある人すらほとんどいませんでした。

父が通信系の会社に勤めていたので、周りの人に比べてパソコンやインターネットの導入が早かったです。

当時、倉木麻衣さんのファンの方が運営していたサイトの掲示板やチャットをよく利用してました。

達也が掲示板を使っていたという件に懐かしさを感じました。

スマートフォンやSNSしか知らない世代からしたら隔世の感があるでしょう。

・ビフォーアフター

インターネットでゲイサイトの掲示板を見る達也と、アンプを整備する父親。

古い時代と新しい時代の狭間にいるのを一層感じました。

インターネットですべてが変わる。だから今のうちに体験しておくべきなんだ。

エレクトリック p150

達也がそう言ってますが、20年以上経ってその通りになりました。
ChatGPTなどの生成AIもそういう運命になるだろうかと考えました。

・文字の芸術作品

「純文学だからそうでしょ」と言われたら
それまでですが、比喩表現が多いと感じました。

一例ですが、達也がこっそりAVを見ていた時の話。
モザイクを化粧のパレットに例えていました。

今のモザイクは薄くなっているので、化粧のパレットのようには見えないでしょう。
比喩表現1つでも、当時の状況を暗示させているところに、著者の文章表現力の凄さを感じました。

・感想

芥川賞候補作で読了本第1号になりました。

著者に対して哲学者のイメージが強いです。
コロナ禍を機に小説を書き始めたのは知ってましたが、2度も芥川賞候補に選ばれるのに驚きです。

『現代思想入門』を読んだことがありますが、
私の理解力がなかったせいか、
感想文をかけるレベルで読めませんでした。

比較的簡潔に書かれているのはわかっていたのにも関わらずです。

哲学の分野が弱いと思い知らされた本です。
また別の機会に読み直そうと思います。

「著者の目線からこんな世界が見えるものか」と表現の豊かさを感じました。

以上、ちえでした。
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