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「人間は一人で生きていけない」 人付き合いを面倒がる猟師から学んだこと【ともぐい】河崎秋子著

「この人は人間?それとも熊?」

主人公の熊爪を見て、そんな疑問が浮かんできました。
本の舞台が明治時代だから、
現代よりも熊爪のような人がいそうと思いました。

人里に出るのが億劫と思いつつも、
拳銃の弾や食料など必要なものを手に入れるため
お金を稼ぐ必要があります。
熊爪の場合は、狩りで取った鹿の皮や肉を売りに行って、お金を得ていました。

作中で目立ったのは「あぁ、面倒」です。
人と関わり合うのが億劫がっていたのを感じました。

それでも、人間社会と
完全に切り離せない様子が伺えました。


・穴持たずを追いかけてきた外からの猟師

穴持たずとは、冬場に冬眠しなかった熊です。

ある日、血を流している男性に遭遇した熊爪。
目を負傷しています。

そのままにしていると、他の組織まで腐るため
処置をした熊爪。
人里の医者につれていきました。

通常の作品なら哀れむ様子がありそうですが、
熊爪は「厄介なものを連れてきたものだ!」と怒りを感じます。

放置するにしても、熊が人間の死体の味を覚えてると熊爪も困るため、仕方なく手当をしました。
その後、穴持たずを倒しに行くことになりました。

・穴持たずを倒しに行った時の話

熊詰めは穴持たずを探しに行きました。
そしたら穴持たずは別の熊と戦っていました。

その様子を隠れてみていたら、
崖から落ちてしまいました。腰に激痛。
目が覚めたら自宅ではなく、いつも言ってる商店にいました。
医者が往診に来ていました。

腰を骨折をしたため、しばらく猟ができませんでした。

猟ができなくなったらそれまでと
思っていた熊爪ですが、
結局他の人に頼らないと生きていけないことを
実感してるように見えました。

・陽子とその子ども

よく訪ねていた商店に陽子という女性がいました。 
彼女が妊娠中に熊爪は連れて行きました。

人と共に生きるとは、こういうことなのだろうか。

ともぐい p263

陽子は熊爪の小屋の中で出産しました。
自分の手足と犬は思い通りになりますが、
陽子と赤子は、そうもいきません。

自分の思い通りにならない様子を感じました。

・感想

はじめは、熊爪が野生の動物に見えました。
自分一人で完結したい。
しかし、誰かに頼らないといけない状況になっていたため、葛藤を感じました。

自然と共に生きている人でも難しいと実感。

自分の体一つ治すのも医者に頼っていますし、
生活の糧を得るために行きつけの商店に
依存せざるを得ません。

人間はそう一人で完結しないことを改めて感じました。

以上、ちえでした。
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