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先生が、言うことを聞きなさい! 〜学校エッセイ26〜

先生の言うことを聞きなさい!

親の、先生の言うことをちゃんと聞きなさい! これは大人が子どもに向ける常套句だ。
では大人には、「人の言うことを聞く」ができているのだろうか?

私は人の言うことを聞かない方だ。それは自分で認めている。家人にも言われる。でも、全く取り入れていないつもりはない。「うん」と言っている時もある「はず」だし、その場では反駁しても、後でもっともだと思って受け容れることもある(そちらの方が多い)。「あの時ああ言われてあの時は言い返したけど、今は解ったから」とはわざわざ言わない。もちろん礼も言わない(言えない)。

人生の半分をお世話になっている女医さんから、「あなたにはね、人の言うことを聞かない、ところがあるのよ」と言われた。この先生が言うんだから間違いないと思った。
一方、その先生から紹介された別の女医さんからは、「村野さん、人の言うことなんて聞かなくてもいいと私は思うよ。あなたがそう言われてしまうのは、その場で反論してしまうからじゃない? ふんふん、なるほど、と聞いておいて、やりたいようにしたらいいと私は思う。これは医者として言うんじゃなくて、処世術のようなものかな」と言われた。

SNS上で女子高生が、「国語の先生になりたいのですが、どんな本を読めばいいですか?」と発信していた。私はここが出番、といろいろと書き込んだ。彼女は、「有難うございます! 読んでみます!」と答えた。彼女の姿勢、受け答えはどのユーザーに対しても素直だった。他の章に書いた、私の作品を支持してくれている見知らぬ若い女性。私はその人とメッセージを交換し、その流れで、ある映画作品を勧めた。その人は、「観てみます! 人から薦められたものは必ず体を通すようにしているんです!」と返してきた。迂闊に薦められないな。責任重大だ。2人とも素直でびっくりした。そこでびっくりしてしまう私には、やっぱり人の言うことを聞かないところがあるんだろう。子どもに教えておいて、自分ができていないことが結構あるのがコワい。

私はマニュアル本をこれまで所持したことがなかった。せいぜい書店で目次をざっと見て、「ハイハイ、何てことない」と戻すくらいだった。生徒に教科なり何なりを指導する時も、基本、自己流。作文の「型」なんていうのも知らない(起承転結、序論本論結論くらいは、知ろうとしなくても知っているけれど)。でも最近、「文章の書き方」「書き手として生きていく方法」的なベストセラー本を3冊も買ってしまった。そういえばSNSの使い方の本も購入した。人の言うことを聞いてでも成し遂げたい、と思ったのは、もしかしたら初めてかもしれない!

私が、私の文章を好いてくれる女子大生に教えた映画は、「君の名前で僕を呼んで」です。タイトルだけで気になりませんか? じわじわ来る映画です。今もキテます。

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