本『Think Clearly』 要約


<目的>

情報爆発により,何が正解かわからない「現代社会」

「考え方の指標が欲しい」

指標があれば迷った時も進むべき道を修正できる

<導入>

我々は複雑で不透明な世界を,石器時代の脳を駆使し生き抜こうとしている
人類の進化を辿ると,近年の進化に脳はとても追いつけない
そう考えると,抽象的な考え方から具体的な生き方まであらゆる面でミスを犯すのは不可避

だからこそ,いつでも使えるような思考のモデルが必要
物事を客観的に捉え,行動を起こすための目印になり,
ミスも回避しやすくなるだろう

確信的な思考モデルや枠組みを持っていれば,前にも進みやすいだろう
これらの思考の道具や枠組みを知ることによって,
人生の質を向上させることができる

成功までいかなくとも,"うまくいく可能性"の向上が考えられる

よい人生の定義は人によって違い,明確に言い表すことはできない
しかし,どんなものでないかは確実である
定義に意味はないが,それが何かを”知っていること”には意味がある

<ソース>

大きく分けて三つの思考法の出典を引用する

  1. 最新の心理学研究

  2. ストア派の思想

  3. バリュー投資家の思考

投資家には不透明な世界を見通す特別な力が求められ,
たくさんの人生の知恵が詰まっている

<思考法>

内容的に重複する部分も多々あったので,重要だと思ったものをまとめる

・考えるより,行動すること

自分が何を求めているかを知るには,まず何かを始めるのが一番
必要なアイデアは行動しているうちに浮かぶ
どんなに考えてから行動しようが,全て計画通りにいくことはない
重要なのはスタートではなく,軌道を修正する能力
行動しているうちに,自然とより良い方へ修正していく

<効果的な修正法>
好ましくない現実こそありのまま受け入れ,失敗から学習すること
感情では,現実は動かせないことを認識すること
自分を客観的に判断は難しいのでパートナーに評価FBしてもらうこと

行動によりインプットアウトプットを両立することが重要!

・重要な決断時,選択肢の用意検討すること

秘書問題を応用し,短期間にできるだけたくさんの選択肢を試すこと

<秘書問題>
『最初の”(全体)/e(数学定数 2.718)”を不採用にし,
以降その中で一番良かったものを最初に上回ったものを採用すること』

明らかに間違えるよりは,おおむね正しい方がいい
興味に依存せず,できるだけたくさんの選択肢を用意すること
サンプルが少ないと最適を見つけ出せないため

若いうちはできるだけ多くのサンプルを試すことで人生の全体像を把握できる!

・戦略的に頑固になること

上記の思考法と逆の発想で,選択肢をあえて絞ることで,迷わず適切な判断ができる
なぜなら,以下の場合に重要な事柄に関して柔軟性が不利に働くことがある

  • 判断力が鈍り,決断疲れが起きるとき

  • 思考のエネルギーが削がれ,評価も確立しないとき

→柔軟一辺倒だと不満や疲れが貯まり目標から遠のく場合がある
シンプルな選択肢がシンプルな判断を生む
「Simple is best」

・心の錯覚を利用すること

心の持ち様を変えることで,
ストレス耐性や認識を根本から変えることができる

なぜなら,起きた出来事の解釈の仕方は変えることができるからである

例 ただ生きているだけで尊いと感じること
 → 全ての出来事が愛おしく思える

例 プレコミットメント (支払いを先に済ませてから消費を行うこと)
お金よりも,ストレスを節約すること
寄付用口座を用意しすぐ払うことで,出費に対する罪悪感等の節約ができる

思い込みをうまく利用すること!

・不要な心配事を避けること

<精神的な砦を持つための3つの方法 (ストア派の原理)>
- 運命の存在を受け入れること
 常に良いことなどなく,常に悪いこともない
 世界は不公平であり,運命は循環する
- 全ては永遠でないと理解すること
- 思考やこれらの思考の道具は,精神的な砦となるということ
 思考は不可侵領域でありあなただけのものである

考え方の自由は,人類に残された最後の自由である
これらの道具は,現代の精神的な打撃を乗り越えるための重要ツールであり
これまで以上にその重要性が高まっているということ

すでに自分は,この世に生を受けるという大きな運命の波を乗り越えている

・人生のパートナー,最高の仲間を見つけること

ありのままを示してくれる仲間やパートナーをもつこと
 →客観的評価を得て,自分にとって嬉しくない現実を受け入れるため
波長の合う相手を選ぶこと
 →波長の合わない人とはビジネスをしない
組織に属さない人との交流を持つこと
 組織に属さない人間は,組織内部にいる人よりも迅速な行動を取れるため
 時代を大きく変えるのは,いつもどこにも属さない部外者であること
 社会は彼らを拒絶するが,それに耐えられるものだけが生き残っている
自分以外の人間の性格は決して変えられないと理解すること
 誰かの性格を変えなければいけないような状況は極力避ける

・勝つことではなく,負けないこと

何を手に入れたかではなく何を避けるか,ダウンサイドを避ける
 ダウンサイド...考えられる限りのあらゆるネガティブの結果
馬鹿げたことや愚かなことを避け,
時代の風潮に流されなければ自ずと上手くいく

何を避けるか選択することが重要であり,解決よりも予防すること
知識だけではなく想像力も必要であり,
賢明さとは知識の蓄積ではなく,困難に対して予防的措置を施すこと

頭のいい人は問題を解決するが,賢明な人はそれをあらかじめ回避する
避ける行動は魅力に欠けるが,人生の成功の半分は予防措置による成功

一週間で15分でも,起こりうる最大のリスクを集中して考える時間を設けること!

・謙虚さを大事にすること

自分の価値観, ものの見方, 思想, 成功も,自分で身につけたものではない
全ては偶然の産物であり,すでに途方もない幸運に恵まれている
よって謙虚であること,成功の一部を惜しみなく分け与えること
自己憐憫に浸らないこと

感情に従わないこと
 感情ではなく出来事そのものに注目する
 どう思ったかではなく,何をやったかを意識
 ネガティブな感情は重く受け止めなくて良い

本音は出しすぎないで自分を守ること
 自分のことを本当にわかっているとは言えないため
 本当の自分像を理解するには日記を活用
 本音を語っても,自分を滑稽に見せるだけ
 外界との境界がないと生き残れないため

→意識的に2番目の人格を作ること
 バリアを作ることで,内面の安定も保てるから

かといって自分の中にある信念を外向かって発信する必要はある
→でなければ世間の操り人形になるから

・全体像を捉えること

人生において特定の要素だけに意識を集中させると,
その要素が人生に与える影響を大きく見積すぎてしまう

特定要素を過大評価しないこと
自分の人生を客観的にできるだけ距離をおいてとらえ,
全体を把握するまではできるだけたくさん試すこと
長期的な視点を持つこと
冷静客観的に判断しながら目標を追求すること

・モノではなく経験を買うこと

モノの喜びは消えるが,経験の喜びは消えない
仕事も経験の一つと捉えられる
本当に必要なもの以外は排除すること
それ以外は貯蓄に回すこと
お金と幸福度について考えること

<お金と上手に付き合う4つのルール>

  • 自分の年収分の貯蓄をすること

  • 所得や資産の変動に一喜一憂しないこと

  • 裕福な人と比較しないこと

  • 大金持ちになっても生活は質素にすること

・能力の輪を意識して,境界をはっきりさせること

世界を理解することにはやはり意味があり,
それが自分の人生のスタート地点となる

能力の輪の形成に必要なものは,”時間”と”執着
長い時間をかけ何かに一貫して取り組む方が成果が出やすい
→何事も落ち着いて長期的に取り組むこと

欠点より能力や長所に目を向け,
得意,好き,評価されることを仕事にすること

専門分野を持つこと
 他の誰かに追い越されて初めて,自分の専門性の欠如に気付く
 類似点のある分野を広く取り入れること
 専門分野をもてば,一人勝ち現象をモノにできる
 たくさんの知識をたくさん詰め込もうとするのではなく,深く専門的に

<類似の考え方 影響の輪>
自分には影響を及ぼすことができる範囲があり,
それは限られているということ

その影響の輪を超えた部分は意識しないこと
内なる成功を求め,世間の評価は気にしないこと
 特に変えられないものは気にしないこと

つまり,自分の人生に集中すること 
人生は自分の物語であり,自分に集中することが重要!

・読書の仕方を考えること

良い本を選び,続けて二回深く読むこと (ミステリ,サスペンスを除く)
読む価値があるか判断すること
 大切なのは読む意味があるかどうか
読む本を限定すること (30歳前後から)
 良い本へ厳選するため

若いうち,または読書を初めて日が浅い場合は,
できるだけたくさん読むこと

読書しろ!

・自分の頭で考えること

本当に価値のあるモノを自分で見極めること
自分の意見は周りの影響のもとできている
 いかに自分の意見を育てるか
反論の余地がないものには注意
自分の頭で考え,自分の言葉で話すこと

自分の世界を理解できていないと早く気づけば気づくほど,
世界をより深く理解することができる

90%は無意味と思っている方が幸せ
 ほとんどのものは無視してかまわない
期待をコントロールすること
必然目標期待を混同しないこと

  • 「しなければならないこと」が必然

  • 「したいこと」が目標

  • 「できれば良いな,そうなれば良いなと思うこと」が期待

・目標を立てること

人生の目的,方向を確認し,把握すること
目標がないとそもそも達成することはできない
人生の大きな意義小さな意義とを区別して考え,
小さな意義に着目すること

  • 大きな意義..なぜ生きるのか,死とはなにか等

  • 小さな意義 ..個人的な目標や意欲的になれること 自分がすべきこと

幸福度は目標を達成できたかどうかで決まる
非現実的な目標は不満に感じるだけ
少し曖昧な目標でもいい

長期的目標を立てた後は,今を楽しむだけ

・注意の向け方を考えること

成功の一番の理由は『フォーカス』である
どこに注意を向けるかで,幸せを感じるか決まる
情報は我々に何かを与えているのではなく,逆に何かを盗んでいる

<注意の向け方のポイント>

  • "新しいもの""重要なもの"を混同しないこと

  • 無料なものや無料のテクノロジーは避けること

  • マルチメディアから距離をおき,情報は文字(本)から手に入れること

  • 注意を分散させないこと

  • 弱者ではなく強者になること


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