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大邱旅行#02.K-POPな旅は切なくも美味しい旅だった

 独りであれば行かない場所にも訪れる。それが、誰かと旅をする利点だと思います。

 今回一緒に旅行した友人とその娘は BTS と Seventeen の大ファンでした。2グループともに大邱出身のメンバーがいて、彼らのゆかりの地を巡るのは旅の目玉でもありました。独り旅では絶対に選ばないコース。だからこそ楽しみでしたし、推し活をエンジョイするふたりの姿がとても新鮮でした。


BTSのV(テテ)が通った小学校の壁画

 西門市場(서문시장)で食事を済ませて向かったのは大邱の新しい観光地、BTS のV(テテ)が通った大城小学校(대성초등학교)です。市場からは徒歩10分弱で到着します。

 小学校の外壁に造られたこの壁画は、中国のファンクラブが同校と地元の西区庁に提案して実現しました。2021年12月30日のテテの誕生日に合わせて完成し、その後、33メートルだった長さは58メートルにまで延長されたそうです。

 この学校に BTS が通っていたと考えると、何とも不思議な気分です。壁画の前ではハルモニ(おばあちゃん)が野菜を売っていたりして、テテが送っただろう普通の小学校生活の雰囲気を感じられるようでした。

キム・グァンソク通り(김광석 다시 그리기 길)

 K-POPに疎くても韓国の音楽は昔から好きで、なかでもキム・グァンソク(김광석/金光石)は別格でした。

 キム・グァンソクは、80年~90年代を代表するシンガーソングライターです。1964年に大邱で生まれ、人気絶頂だった1991年1月に31歳の若さでこの世を去りました。今でも、当時を知る人々だけでなく、多くの若者や私のような海外から来た人間のこころをも捉え続ける伝説のシンガーです。

 おそらくですが、悲しくて切ない、こころに染みる感傷的な歌を作らせたら右に出る者はいないでしょう。少なくともそう思わせる何かがあります。

 そんな彼の音楽を聴きながら壁画を楽しめるのが、キム・グァンソク通りです。80年代のレトロな雰囲気を味わえるカフェや居酒屋が建ち並び、当時を知らなくとも懐かしい気分にさせてくれます。韓国語名は「김광석 다시 그리기 길」。意味は「キム・グァンソクをふたたび偲ぶ道」で、この名の通り独特な郷愁を誘う通りでした。

◆「이등편의 편지(二等兵の手紙)」by キム・グァンソク

SEVENTEEN の S.COUPS が通う焼き肉屋さん

 そろそろ晩御飯の時間――。

 두툼참숯초벌구이(ドゥトゥムチャムスッチョボルグイ)にやって来ました。ここは SEVENTEEN のリーダーで大邱出身の S.COUPS(エスクプス)の行きつけの炭火焼肉屋として、ファンの間では有名だそうです。

 それにしても、エスクプスといい、発音しにくい店名ですねえ・・・。

 平日の夜に行きましたが店内は満席で、何組かは SEVENTEEN ファンのようでした。

 入り口にはファン専用かと訊きたくなるような待合スペースが設けられ、メッセージ入りの写真やポスターが所狭しと貼られています。ファンのためにステッカーなども用意されていました。1人1セットずつとのことだったので、私の分はきちんと友人に渡しました(というか、私の分も貰っていくねと言われた。どうぞどうぞ)。

 写真やメッセージを見るのに忙しかったからか、待ち時間はそれほど長く感じませんでした。

 案内されたテーブルでも、周りはエスクプスへのメッセージばかり。それを見ながら、会話と食事を楽しみます。肝心の味はというと、抜群でした。香ばしく焼かれた分厚いお肉に、お店独自の甘いタレ。正直、味はそれほど期待していなかったのですが、とてもおいしかったです。

 店員さんも優しく、SEVENTEEN ファンでなくてもおすすめしたいお店でした。

(つづく)

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