エッセイ#47『ゆっくり』

 ここ数年で私の地元にも、自動レジが著しく普及した。
 最初にその存在を確認できたのは、県道沿いのコンビニでのことだ。その後、駅中のコンビニや、ユニクロ、弁当屋などでも確認されるようになり、現在ではパン屋とディスカウントストア以外の大体の店に設置されるようになった。

 先日近所のスーパーマーケットで買い物を終え、自動レジで精算していたところ、とあるモヤモヤを感じた。このモヤモヤの原因は自動レジの合成音声にあるのだが、いったいなぜモヤモヤしているのか自分でもよくわからなかった。
 しかし何となくわかるのは、私はこの声をどこかで聞いたことがある、ということだ。絶対にこの合成音声を、何度も何度もどこかで聞いたことがあり、無意識のうちに脳裏に刷り込まれているのだ。
 会計を済ませて店を出た時、やっとその正体に気付いた。ここの自動レジの音声は、ゆっくり霊夢の声と同じだったのだ。それからというもの、そこで買い物をする度に確認しているが間違いない。確実にゆっくり霊夢である。
 思い返してみると、私が中学生時代に通っていた学習塾にあった、出席確認用のPCから流れていた合成音声もゆっくり霊夢と同じだったような気がする。我々が一番耳にする音声は、ゆっくり霊夢・魔理沙の声なのかもしれない。

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