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あなたが成長できるのは、「あの人」がいるから

娘が小学生のころ
あるスポーツチームに所属していました。
このチームは大所帯で、
よくある「レギュラー争い」もありました。

もちろん頑張っていたのは子どもたちですが、
必死になっていたのは、親でした。

うちの子が少しでも多く試合に出られるように」
うちの子が上手になるように」

親は必死でした。

表面上は仲良く笑顔で談笑しているのですが、
ギラギラしたライバル心は
肌感,、空気感で伝わるものでした。

こんなことがありました。

ある子(”チーちゃん”とします)が
所属チームの練習が休みの日に
別のチームでも練習をするようになりました。
それを聞きつけてムーちゃんも
「行きたい!」
と参加するようになりました。
子ども同士、その話はあっという間に広がり、
レギュラー争いのフィールドに立っているメンバーは
うちの娘以外、全員
「別チームの練習」に参加するようになりました。
自ら積極的に情報をもらいに行くタイプではなかった
うちの娘は
まだその話を聞けていませんでした。

そのタイミングで
チーちゃんのお母さんが
「これ以上練習のことを広めてはダメ」と
子どもとそのお母さんたちに
厳しく口止めをしました。
うちの子だけを上手にさせよう」としたのに
多くのチームメイトが
「別チームの練習」に参加してしまっては
意味がないからです。

それ以降、「別チームの練習」について
話す人はいなくなりました。

その後しばらくして、
娘はその事実を知り
他のメンバーに
不信感を抱くようになりました。
内緒にされては面白くありません。
表には出しませんでしたが
「ほかのメンバーには絶対負けたくない」と
自ら「早朝自主練習」をはじめ
時間を見つけては自主練をし
チームの練習は
何があっても休みませんでした。

怒りからくる「執念」でした。


この話は、
娘のやる気が出て
自ら練習もするようになって
「成長した話」にみえますが
そうではありません。
「怒りからくるパワー」は
長続きしません。
その時は「とてつもない力」を発揮し
すごいことをやってのけたりしますが、
それは、突破力であって
成長ではありません。

現に娘はもう、
そのスポーツはしていません。
先生方や友達にも
「もったいない」と言われますが、
娘は「やり切った」と言っています。

この経験も含め
「個人の成長」
について考えました。

今回の場合、
レギュラー争いをしているメンバーはもちろん
それ以外のメンバーも含め
全員が「別チームの練習」に参加していたら
どうなったでしょう。

全員の実力が伸び
もう一段高いところ
切磋琢磨する環境が
できていたかもしれません。


個人の力を伸ばすには、
「競争相手を減らして一番になる」
のではなく
「誰が一番高いところまで行けるか
信頼できる仲間と競争し合う」
ことが必要です。

「あの子には負けられない」
「あの子みたいなプレーを自分もしたい」
「次は絶対レギュラーとるぞ」
と「負けたくない人」がチーム内にいる
というのは、最高の環境です。
練習も必死になるし
どうしたらもっとうまくできるのか
と、日々考えることになります。
「負けたくない人」とは
自分が「指標」としている人です。
す人、目となる人で
その人の「一挙手一投足」が見られるのは
いい刺激にもなります。

チーム全体が強くなれば、
そのチームにも注目が集まります。
そして「強いチームの一員」として
当然、個人の評価も高くなります。


そんな「競い合える仲間がいる」状況と、
「競い合う相手を減らした独走状態」とでは
どちらが成長できるでしょうか。

自分だけが一番でいたいのなら
独走状態を選んでもいいでしょう。

しかし、そうやって
引きずり下ろした相手は
あなたをまた引きずりおろそうとします。
下に下に引っ張り合いです。

人を引きずりおろす行為は
自分を引きずりおろしているのと同じです。


成長したいのなら、
競い合える「あの人」を
大切にしましょう。
「負けたくないあの人」は
あなたを成長させてくれます。
競い合える環境をつくりましょう。

環境に恵まれていないと感じるのなら
まずは自分を見つめてみましょう。

誰かを引きずりおろそうとしていませんか?
自分さえよければと思っていませんか?
信頼されるような自分ですか?


あなた次第で環境が良くなり
環境が、あなたを成長させます。

「あの人」は敵ではありません。
「あの人」がいるから
あなたは成長できるのです。

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