一人暮らしになってからちょこちょこ飲む。

友達を呼ぶときもあるし、ひとり昼間から飲むこともある。

さぁ、今日は飲むぞと決めると
まずは酒の肴を決める。
かんたんな材料でサッと作れてしかも美味いもの。

わたしのお酒タイムは、
必ずキッチンからはじまる。

冷蔵庫をあけて
酒にあうおつまみ作り。

季節はずれのアボカド。
夏の初めに冷凍したものをえびとピスタチオでサラダにする。

鮮やかなグリーンと赤が
冬のキッチンにみずみずしい風を連れてきてくれる。

おなかを温めてくれる
ホタテとハーブで作るかんたんアヒージョ。
素焼きのココットを火にかけながら、
今日あった事を思い出す。

そうこうしているうちに、
サーモンとクリームチーズのピザを焼けてくる。
黒胡椒を振りかけて、
さあ、お酒との時間を、始めよう。

少し辛めのドイツビール。
ドイツの友人から航空便で送られてきた
木箱に入ったそれに、
今年の年末は帰るから
と手紙が1枚。

よく見慣れた彼女の字。

わたしはビールを飲みながら
それを何度も読み返し、
ひとり静まりかえった夜の酒を楽しむ。

最後の1本は彼女と飲みたいと
開けぬまま本棚に飾られたビール。

見下ろすようにわたしを見つめるビールが、
いつしかわたしのお守りになった。

今は亡き彼女との日々を懐かしむ。

年に一度はしんみりと、
なき友を思う酒もいい。

#いい時間とお酒