見出し画像

科学的なアブローラーのトレーニング方法:胸、上腕三頭筋の筋肉も強化すべし

本記事の目標
・アブローラーを強化するために必要な上半身の筋肉を知る。

アブローラーは著名なボディビルダー、人気のある筋トレ系Youtuberもおすすめする非常に有用なトレーニングです。しかし、その強度の高さからいわゆる「膝コロ」もできない人も少なくありません。また、どのようにステップアップしていいかがわからないことも多いでしょう。

この記事では筋トレのベテランであり、一定の科学的素養がある筆者(※筆者は国立大学薬学部卒、薬剤師)の視点で、アブローラーのトレーニング方法を紹介します。今回はアブローラーと上半身の関係を紹介します。

アブローラーには腹筋、大胸筋、上腕三頭筋が必要である
アブローラーが出来るようになるには、その際に使う筋肉を知る必要があります。Ab Slide と呼ばれるアブローラーに酷似したトレーニング器具があるのですが、その運動の際に活性化される筋肉の種類は以下のようになります(1)。

文献(1)より引用。日本語部分は筆者追記。
Ab Slideの図。文献(1)より引用。
そういえば昔のテレビショッピングで紹介されていましたな。

この文献ではAb Slideによる筋活動度を測定しているのですが、その結果は以下になります。
腹筋群(腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋)>上腕三頭筋長頭>大胸筋
腹筋群は当然ですし、腕の筋肉である上腕三頭筋を使うのもわかりますが、意外にも大胸筋の貢献度が大きいことが論文で示されています。一方で広背筋や脊柱起立筋の刺激が少ないこともわかります。
大腿四頭筋への刺激が少ないことも示されていますが、この文献では上記のように膝コロで行っており、立ちコロの場合は話が変わることは注意が必要です。
※某youtuberに刺激されて片足立ちコロをした際、一番きつかったのは大腿四頭筋でした。ちなみに3回しか出来ませんでした。

次に以下の図をご覧ください。

文献(2)より引用。日本語部分は筆者追記

上記の図ではアブローラーにおける膝コロのポジションごとでの筋活動を観察しています。きつい動きであるボトムのストレッチポジションにおいて腹直筋のみならず、大胸筋のの筋活動が高まっていることが示されています。
一方で脊柱起立筋や広背筋への刺激は非常に小さいものとなっています。

前者はアブローラーで追い込むと腰が痛くなること、後者は上腕の動きが上腕の伸展と呼ばれる動きをしているため関与度が大きいと思っていた時期が私にもありましたが、実際はほとんど寄与しないことが示されています。

まとめますと、膝コロを行う筋力の基礎を作るには、腹筋、上腕三頭筋、大胸筋を鍛えたらよいということになりました。初級者の方の場合、例えば以下のトレーニングを取り入れるとよいでしょう。
大胸筋:ダンベルベンチプレス、ペックデッキフライ
上腕三頭筋長頭:ダンベルフレンチプレス、ケーブルオーバーヘッドエクステンション

また、アブローラーを強化することが最重要である場合は、腹筋のみならず、大胸筋や上腕三頭筋が疲労していない状態で行うことも重要です。
アブローラーを行う前にベンチプレスやトライセラプスエクステンションをさけることで、アブローラーに最大限の集中することができるでしょう。

参考文献
(1)2006 Rafael F Escamilla et al  J Orthop Sports Phys Ther.「An electromyographic analysis of commercial and common abdominal exercises: implications for rehabilitation and training」
(2)2015 MedicalExpress Paulo Henrique Marchetti eta al「Muscle Activation Pattern During Isometric Ab Wheel Rollout Exercise in Different Shoulder Angle-Positions」



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?