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プログレッシブ歩き遍路・2002年 ⑩ 徳島

5月13日

朝起きて缶コーヒーとエコーで目を覚ましながら、ガンジーにミルクをあげる。
めちゃくちゃ良い天気で気持ちが良い。

のんびりと歩き平等寺を目指す。
ガンジーの歩きは子犬なので遅いしあちらこちらに飛び出そうとするので、何度も抱え上げる。
抱くと嫌がって歩きたがるので降ろすとまた変な方向に走っていく。

歩いて数時間で友人Sは子犬連れての遍路は無理やと悟った顔をしている。
かといってほっとけないので一緒に進む。

昼頃に平等寺に着き、参拝する。
腹が減ったので近くの食堂で唐揚げ定食を食べる。
その間ガンジーは小川沿いの木に紐で繋いでおいた。
食べ終わってからガンジーにも食事と水を食べさせまた出発する。

可愛いけどとてもこの先ガンジーと一緒は無理やろと言うと、友人Sも完全に無理だと思ったようで途方に暮れる。
どうしたらいいか考えながらとりあえず歩く。

天気が良すぎて暑いので、交代でガンジーを抱っこして歩く。
腕が獣臭くなる。

あまりに暑いので途中缶コーヒーとアイスクリームとエコーで休憩する。(この頃は何を食べても太らなかった)
その後何度も休みながら歩き、ある道端で休んでいる時、その近所に住むおばちゃんが声をかけてきた。

その子犬はどうしたのと聞くので、昨日見つけて連れてるんですけど大変ですと言うと
そのおばちゃんは、じゃあ私が飼うから引き取るよと言う。
話を聞くと昔長年犬を飼っていたが、死んでしまってから悲しくてまた飼うことは出来なかったらしい。
しかしこれも何かの縁と思い一瞬で飼うことに決めたようだ。

優しそうなおばちゃんで、よかったなあと思う。
連れていくと言った友人Sもホッとしている。
可愛いだけじゃないから俺はペットなんか飼えないと思った。

おばちゃんとガンジーとさよならしてまた歩く。

数時間歩き、6時ごろに日和佐に着く。
ローソンで牛丼を買って食べ、エコーと缶コーヒーで休む。
廃バスを宿にして泊めさせてくれるところがあると聞いていたので、電話すると泊まっていいと許可をもらえたのでその廃バスに向かう。

日暮の道は遠くに線路と学校が見えて、グランドでは部活の練習をしている。
なぜかめちゃくちゃ胸にグッときて印象的だった。

廃バス手前に、インドチャイと雑貨という店を見つける。
立ち寄ったらインドのパカワジという太鼓を叩いていた。
チャイを注文し話を聞くと、19日にインド人演奏家がきてライブを店でやるという。
それを聞いて19日までの約1週間この日和佐に滞在してライブの日まで待つことに決めた。

お茶代200円まけてもらった。お礼を言いバスに向かう。
バスの持ち主に挨拶し、荷物を置いてすぐ近くの風呂に向かう。
めちゃくちゃ気持ちよくて、のぼせる限界まで風呂に入る。

さっぱりしてバスに戻り、エコーと缶コーヒー。
バスには俺らの他に、20代の無職の遍路さんと、映画監督を目指しているという遍路さん、そしてもう自転車で100回以上88ヶ所回ったという山崎努に似たおっちゃんがいた。

山崎努似のおっちゃんは昔バイクを乗り回していて暴走族と呼ばれる前のカミナリ族というのをやっていたと語る。
そして霊が見えるといい、寿命が解るという。
映画監督がこの中で誰が一番早く死ぬかわかりますかと聞くと、解るという。
しかしそれが誰かは言わなかった。
俺はあんまり信じてなかったし適当に聞いていたけど、映画監督はとても気にしている。
映画監督が何度も尋ねるが山崎努はニヤニヤして答えなかった。
その後遍路道にある心霊スポットの話になり皆で地図に危ないところをメモした。

就寝前のエコーを吸う。
山崎努は両切りのゴールデンバットを吸っていた。

それから皆横になり
お休みと言い、寝た。

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