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はじめに

ぺっくんは、手をつないで外を歩くのが難しい子でした。大人が10分で歩ける駅までの道のりが、1時間かかります。道路の端を歩けない。まっすぐ歩けない。行くべき方向に進めない。心が整っていないときに、注意したり、気持ちに沿わないことを言ってしまうと、怒ってしまいます。つねったり、叩いたり、けったりしてしまいます。人にわざと突進して、ぶつかってしまいます。でも心が整っているときは周りに優しくできる子です。気遣いのできる子です。そして、集中すると、しっかり考えたり覚えたりできる子です。

ものごとの善し悪しをなんとなくでもわかっているようであれば、悪いことを注意するより、悪いことをしなくても済むように心を整えることを優先しています。その時の敵は自分、ちゃんと注意できないダメ親、と思われることを気にしてしまう自分です。ダメ親と思われても、ぺっくんが自分で上手に心を整えられる手助けをすることの方が大切なはず、と信じていれば、育児が楽しめるはず。

ぺっくんは、自閉症スペクトラムと診断されましたが、私自身もいろいろと関連の本を読んだり、療育をはじめたり、何より本人とずっと接していると、わかりやすい?素直?まっすぐ?正直?なんというか、自然に本能の赴くままに生きている、定型発達の子と比較するとよりわかりやすい自由人なんじゃないかな、と思うようになりました。でもこういう要素は、誰しもが持っているはずなので、きっと自分が感じた、ぺっくんの心を整えるためのヒントは、どんな子供でもきっと同じようにヒントになることがあると思っています。育児に躓いたり、こまったり、苦労したり、不安になったりしている人が、これを読んで、少しでも余裕をお届けできると嬉しいです。

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