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犯人は誰だ?!

世間のニュースに上がることはないが、家庭内で普通に過ごしていても、数々の事件が生じることがある。

私が結婚して、現在の住まいに引っ越した後、母から

「もうアンタ、今日は洗濯物にティッシュが混じってたみたいで、衣類に紙がいっぱい絡みついて、参ったわ~。」

と電話があった。

この問題は実家住まいだった頃から、しょっちゅう頻発しており、私と父は母に犯人だろうとそうでなかろうと「誰のせいってわけじゃないけど。」という枕詞を付けながら、いつも怒り口調で注意されていた。

そもそもうちの家では、排水口の髪の毛等のゴミを各自が風呂上がりに取るということが義務付けられており、そのためのティッシュを、着替えと共に用意するのだが、それが風等で洗濯機(縦型で換気のため扉を開けている)に入ってしまうことがある。

また衣類にティッシュを入れたまま、ゴミ箱に捨て忘れて洗濯機に入れている場合もあるだろうし、故意にしてるわけじゃないため、誰のせいか分からない。

この話題を振られた時に、私は咄嗟に「来た!!」と思い、

「私じゃないからね。私はずーっとこの家におったからね!」と言うと、

「そうやねん。アンタのせいにしたろうと思ってたけど、できひんな。」

と、冗談とも本気とも取れるように母が言った。

なんでそうなる!!
とんだ冤罪である。

____

昔、実家住まいだった頃の話である。
当時ご存命だったお隣のおばあちゃんからこんな話をされたと母に聞いた。

当時お隣さんは3世帯同居だった。息子さんの仕事の都合で、家を置いたまま、県外の仕事先近くに一家で一時的に住んでいた。

そのおばあちゃんが、どうやらおばあちゃんの裏の家の人から、

「お宅の家の扉がバッタンバッタン音が鳴って、うるさくて困っている。」

と一時住まいまで連絡が来て、扉がどうなってるか確かめにわざわざ帰ってきたらしい。

しかしいくら確認しても、家や門扉に異常はなく、鍵もかかっており、バッタンバッタンと音は鳴っていない。なのに「どうしてそう言われるんだろう?」と困惑されていたらしい。

母も最初は「どういうことなんでしょうねぇ?」と、実際そう思いながら話を聞いていたが、途中から「もしや…!」と思ったらしい。

「私ね、たぶんくーちゃんのせいじゃないかと思うんよ。」

「えっ!くーちゃんのせい?」

くーちゃんとは私の弟(昔飼っていたうさぎ)のことである。

うさぎは習性で、夜とかに仲間にキケンを知らせるために、スタンピングと言って、後ろ足を踏み鳴らすのである。弟の場合、小屋の中にベッド代わりに板を敷いていたのだが、その板の上でしょっちゅう「カツコーン!」という音を鳴らしていた。

そういえば、叔母も泊まりに来た時に、「姉ちゃん(母のこと)、あの音何?怖いわぁ。」と言ってたらしいので、聞き慣れている私達には“いつものこと”といった感じだが、周りの人はうさぎがまさかそんな音を出すとは、飼っていなければ知らないだろう。

「そうやなぁ…あり得るかも知れへんなぁ。」

と弟の小屋の方を見ても、当然弟は知らん顔である。

状況証拠(?)のみで、決定的な“物的証拠”もないし、“自白”も望めないので、半迷宮入りとなっている。

____

ある時、家族で出かけてきて帰ってくると、朝に母が仏壇のお供えしていた、ご飯やおかずが無くなっており、線香を立てる灰がとっ散らかっていた。

「えぇ!!これ誰?」と母が仏壇を見て、絶叫した。

しかし泥棒が入った形跡もなく、他に取られたものは一切なく、他の所は出ていく前の状態で、荒らされた様子はない。

実は家族で出かけたと言ったが、この時“一人”だけ家の中で留守番をしていた者がいた。

弟の2年後に生まれてやってきた妹(昔飼っていた犬)である。

母は「ひょっとしてひーちゃん(妹のこと)のしわざちゃうやろか?」と言い出した。

なるほど、妹は中型犬でそこそこ大きく、仏壇をよじ登ればごはんやおかず位、十分届くし、灰のあたりで鼻をクンクンしてたら、むせて灰が飛び散ってもおかしくはない。

母が「ひーちゃん、おじいちゃん達のお供え物食べたの?」と聞いても、「ハァハァ」と満面の笑みでこちらを見るばかりである。

こちらの事件についても、防犯カメラはなく、状況証拠や動機、物的証拠はあれど、DNA鑑定をすることもできず、“自白”も難しいということで、半迷宮入りとなっている。

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そして私が結婚して出ていってから、私たち夫婦が「こしあん好き」ということを知ってる母が、偶然「こしあんのどら焼き」を見つけて、次回会う時に渡そうと、仏壇に供えていたらしい。

すると、母が不在時に、お腹を空かした父がどうやら勝手にどら焼きを食べたらしく、いざ私達に渡そうと思った時に、無くなっていたらしい。

「もう、お父さんいうたら、勝手に食べてからに!!アンタらにせっかく渡そうと思って、珍しいこしあんのどら焼き見つけたから買ってきてたのに!!」

と怒っていた。

父は、昔からお腹が空くと我慢ができないタイプで、イライラしたり、いつもなら母に確認してから食べるところを確認せずに勝手に食べるところがあるので、私には「さもありなん。」と言った感じで、父が食べている様子がまぶたの裏に浮かんだ。

「ええで、お母さん。確かに珍しいし、食べたかったから残念やけど、仕方しょうがないわよ。お父さんあの人が我慢できないのは分かってるから。お父さんらしいやん。」と言った。

「もう、ほんまに!!」と母は怒り心頭だった。

父の場合は状況証拠、物的証拠、動機、自白もあり、母に怒られ、“お縄頂戴”となったのである。

このことに限らず、以前から父に食べられないように、母がカップラーメンとかにもマジックで各、名前を書いているのが、我が家ながら笑える。

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くだらないことだが、たまに思い出して、「そんなこともあったなぁ。」と笑ってしまうことがある。

今回、父だけお縄頂戴となったのは残念だが、冒頭の洗濯機ティッシュ問題は、これからも起きるのは必須なので、私も実家に世話になる時は、十分に注意をしないといけないと思うのであった。


▽私がブーツでこけたという、ドジな話はこちら


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