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笠間 陶炎祭2024/収穫②

真似できそうでできない、個性的な肉じゃが。

唐突で申し訳ないのだが、
みなさんのお宅の、あるいはお好きな
肉じゃがはどんな仕上がりなのだろう。
おそらく大多数のご家庭では、
甘辛い汁気を吸って茶色く煮崩れた
ジャガイモや人参、そして肉としらたき。
※糸こんにゃくでもいいけれど
そんなヴィジュアルではないだろうか。

一方、我が家の肉じゃがは大いに異なる。
簡単に言えば非常に薄味で汁気の多い
和風ポトフのような仕上がり。
これはひとえに私の、
濃い味付けを好まない趣向を
妻が考慮してくれた結果そうなったのだが。
この作品を見つけた瞬間、
何故かそんなことを思い出した。

普通を普通に見せない、周到なこだわり。

今日ご紹介するのは沖誠さんの作品。

高さは約80mm。
形はごくごくシンプルかつクリーン。
悪く言えば平凡。
なのに何故か目に止まり、手にしていた。
側面に均一に、上から下まで
ずらりと刻まれた溝。
そこに薄っすらと釉薬が溜まり、
まるで錆びたネジのような趣に。
もう少し正確に描写すると、
塩を吹いて一部が緑色に変色した
金属パーツ、だろうか。
いやいや、どこが正確なんだか。

素人の分際で失礼を承知で言えば、
このようにありふれた造形で違いを出すのは
たいへん難しい作業だと思う。
しかし沖さんの作品は見事にそれに成功している。
奇をてらうことなく、ほんの僅かな造作の違いで、
明らかな個性を際立たせている。

これを我が家の肉じゃがと並べることは
どう考えても不遜であるのは間違いない。

元ジュエリデザイナーの絶妙なるスパイス。

プロフィールを拝見すると、
沖さんは元々ジュエリーデザイナーなんだとか。
リングやピアスなど、極小の、
ほぼ変えようのないフォルムの中に
自分らしさや違いを生み出す。
どうりでこんな仕上がりになるわけだ。

鉄分を含む釉薬のバランスで、
全体、及び縁の周りが
ほんのり緑色がかっているのも、
とてもいい味わいになっていると思う。

ちなみに、我が家の肉じゃがも緑色の、
柚子胡椒をつけていただく。
どうにかして話を私事に引っ張って
いこうとする技のなさはご容赦いただきたい。
それほどのジェラシーを感じさせる仕上がりだと
ご理解いただければ。

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