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ときどき日記(442)パワハラをなくすために

「仕事が原因でうつ病などの精神障害を発症し、昨年度に労災と認定された人は(略)、過去最多の710人に上ったと厚生労働省が発表した。」(2023/8/19読売新聞社説)というが、いろいろ見聞すると、氷山の一角だと思う。

私も仕事が原因で精神障害を発症した経験からすると、被用者の立場では、労災の申請は失業を覚悟しないと出来ないというのが実感だ。

「劣悪な職場環境や人間関係によって」発症したのであるから、その「劣悪な」云々を証明しなければならず、平たく言えば「職場のせいで」と訴えなければならない。

そんなことをしてしまえば、職場を、ひいては仲間を敵に回すことになり、職場への復帰はほぼ絶望的になる。と考えてしまう。特に、弱っているときほど、そういった連想が膨らむ。

「認定理由で最も多かったのは、上司から嫌がらせを受ける『パワーハラスメント』」だというが、私の場合もこれだった。

この場合も労災として訴えることは不可能だ。

上司は人事考課や異動などの生殺与奪を握る存在であり、その者を敵に回すことも失業を意味する。異動でできない仕事を与えればすぐに潰れてしまう。

ましてや、私の場合、政令市の地方公務員であったから、組織を挙げて握りつぶされることも想定された。

おそらく根本的な制度改革を行わない限り、労災に限らず、そもそもの精神障害は減らない。

法が人事に介入し、原因者と被害者を引き離したり、被害者が復帰しやすい環境を整えてやれるようになれば、精神障害を発症したとしても安心して、それも早期に職場復帰できるようになると確信する。

私の場合、原因者のいる職場に戻る以外に制度は無く、報復人事もあり得たので、弁護士に相談したが、「職場に対してファイティングポーズをとることになりますよ」「法は人事に介入できないんですよ」と諭されて泣き寝入りをするしかなかった。

結局、職場復帰はかなわず、「精神的に弱い者」として職を辞さなければならなくなった。

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