見出し画像

「地下アイドルとのつきあいかた」を読んで考えたこと―オタク同士の人間関係

ロマン優光さんの著書「地下アイドルとのつきあいかた」の感想と自分が地下で感じたことを書いていきたいと思います。
まず帯のアオリ文が「異常な人は、そんなにいない」だったのに笑いました。少しはいるんだ……。
実は以前に1回だけロマンさんを巣鴨獅子王でお見かけしたことがあります。誰かがあの人は作家だ、と教えてくれたような気がします。

テーマ的にエッセイのような内容かと思いきや、ロマンさんが終始冷徹な目でひとつずつテーマを分析していて面白かったです。足繁く通っていた当時でもよく分かっていなかった人間関係の謎について、この本を読んで理解が深まった気がします。
地下アイドルに興味がある方はもちろんのこと、現場に通っている方にぜひおすすめしたい本です!普段感じているモヤモヤした気持ちを具体的に整理することができて頭がすっきりしたからです。

気になるテーマが絞り切れなかったので2回に分けますね。


オタク同士の人間関係について


オタクはみんな仲がいいというのは幻想でしかない。
いろんな価値観の集団や個人が、それぞれの思惑を胸に現場で活動し、なんとなく形成されているのがオタクの社会である。ただ、それぞれの欲望にプリミティブに直結しているため、日常生活よりはある意味シンプルである。

「地下アイドルとのつきあいかた」(ロマン優光、太郎次郎社エディタス、2023、P77)

下記の記事でも人間関係が難しく感じた、と書きましたが、思い返すと私は文学部から教育系に進んだことでもう10年以上周りが女性ばかりです。
地下では自分が普段慣れた「気持ちを察する、共感する」というコミュニケーションのルールが通用しない世界に来てしまったように感じて戸惑っていたようです。

界隈は仲良くあるべきなのか?



よく「私の界隈のみんなが仲良しでうれしい!」と言い出すアイドルがいるのですが、私は以前あれが苦手でした。
界隈によっては仲良くするのを遠慮願いたいような輩もいるのに、交流の輪に入るのを強制されているような気分になったからです。

でもあれは公共の場所に「いつもきれいにご使用いただきありがとうございます」と書いてあるようなもので、密に交流してほしいというよりは「仲良くしてね=揉め事起こさないでね」という悲願が込められているような気もするんですよね。
若い女性にそんなことを言わせてしまう大人の方に問題があるのは明白なので申し訳ない気持ちにはなりますが、同時にどこに行っても問題起こすようなオタクには婉曲的な言い方は全く通じないだろうとも思います。

「全体に向かって注意喚起をすると、普段から気を遣っている人が嫌な思いをする一方で問題起こす奴は全く気に留めない」というのはアイドル現場に限らずよく言われることですよね。
かと言って本人に「お前は面倒な奴だから揉め事起こすなよ」と言ったら激しい反応が返ってくるのは目に見えているし……小規模な活動の場合マネージャーがいないこともあるので、10代の子も自分で厄介なオタクへの対応策を考えなければいけないと思うとなんて大変な職業なんでしょうか。

自身の経験を思い返して

思い返してみると、私は割と人間関係全般に慎重な方なので、同じ界隈の人でも付き合いはライブハウスで会ったら少し話をする程度に留めていました。
しょっちゅう飲み会してるグループも楽しそうだなと思ってはいたものの、私はどうしても集団になると好感が持てる人もいれば苦手に感じてしまう人もいるので、距離感を間違えて苦手なオタクと交友関係ができてしまい現場に行きづらくなってしまうのを恐れていたからです。

でも、その後文章を書いたことや色々なきっかけで話せるようになった人もいたので良かったなと思っています。
それぞれ適切な距離感で、無理せず楽しいオタクライフを楽しんでいけたらいいですね!








この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?