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第一種動物取扱業者とは?

私は2023年5月に東京都で行政書士を開業しました。副業行政書士としての開業です。今回は最近よく耳にする動物愛護管理法について、色々と調べてみたので記事にしてみたいと思います。


■第一種動物取扱業者の規制

第一種動物取扱業者を営む者は、事業所・業種ごとに都道府県知事または政令指定都市の長の登録を受ける必要があります。
また、動物の管理の方法や飼養施設の規模や構造などの基準を守ることが義務づけられています。

■規制を受ける業種

業として、動物の販売、保管、貸出し、訓練、展示、競りあっせん、譲受飼養を営利目的で行う場合は、営業を始めるに当たって登録をしなくてはなりません。「業として」というのは「商売として行う=収入を得る目的」で、
と読み替えると分かりやすいかもしれません。また、代理販売やペットシッター、出張訓練などのように、動物の所有していなかったり、飼養施設がない場合も規制の対象になりますので注意が必要です。
なお、実験動物や産業動物を除きます。なお、第一種動物取扱業者の対象の動物は哺乳類、鳥類、爬虫類が対象です。

出典 https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/trader.html

■対面販売が義務づけられています

インターネットでのショッピングが当たり前の世の中ですが、生き物をぽちっと買うのはさすがに抵抗あります。動物(哺乳類・鳥類・爬虫類)を販売する場合には、あらかじめ、動物を購入しようとする者に対して、ちゃんとお店でその動物の現物を直接見せる(現物確認)と共に、その動物の特徴や適切な飼養方法等について対面で文書などを用いて対面で説明することが必要となります。インターネット上のみで販売することはできません。
また、対面販売の際に説明が必要な18項目(成熟時の標準体重、標準体長、平均寿命や不妊去勢の実施状況)も定められています。
これは子犬や子猫など「可愛い」というだけで飼い始めて、その後、大人になったときに「こんなに大きくなるとは思っていなかった」とか、「こんな感じの成犬になるとは知らなかった」という理由で遺棄することを防ぐための規制になります。

■帳簿の作成と所有状況の報告義務

第一種動物取扱業者のうち、動物の販売、貸出し、展示、譲受飼養を行う場合は、飼養する個体に関して、
①品種等、②繁殖者名等、③生年月日、④所有日等、⑤購入先、⑥販売・引渡し日、⑦販売・引渡し先、⑧販売・引渡し先が関係法令に違反していないことの確認状況、⑨販売担当者名、⑩対面説明等の実施状況等、
⑪貸出し目的・期間等、⑫死亡した場合には死亡日、⑬死亡原因について
帳簿に記載し、5年間保存(※)しなければなりません。保存の方法はパソコンなどでも認められており、取引伝票など帳簿の記載事項に関する情報が記載された書類を整理して保存することが努力義務として定められています。

毎年度、5月30日までに、登録を受けた都道府県等に対し、前年度の①年度当初の動物の所有数、②月毎に新たに所有した動物の所有数、
③月毎に販売等した又は死亡した動物の数、④年度末の動物の所有数、⑤取り扱った動物の品種等を届け出ることが必要です。(定期報告届出書)

帳簿の作成と所有状況の年1回の定期報告はペットショップ、ペットレンタル、動物園、水族館、老犬老猫ホームを営む方で頭数が多くなるとかなりの負担になってくると考えます。特に「老犬老猫ホームは頭数が増える」=「保護される老犬老猫が増えること」は歓迎すべき事だと思いますが、
このような定期報告業務が増えることを避けるために、「老犬老猫を預からない=保護されない」といった問題もこれから発生してくるのではないかと懸念されます。

■第一種動物取扱業者が守るべき基準

1.飼養施設等の構造や規模等に関する事項
・個々の動物に適切な広さや空間の確保
・給水・給餌器具や遊具など必要な設備の配備

2.飼養施設等の維持管理等に関する事項
・1日1回以上の清掃の実施
・動物の逸走防止

3.動物の管理方法等に関する事項
・幼齢動物の販売等の制限
・動物の状態の事前確認
・購入者に対する現物確認・対面説明
・適切な飼養または保管
・広告の表示規制
・関係法令に違反した取引の制限

4.全般的事項
・標識や名札(識別票)の掲示
・動物取扱責任者(※)の配置
(※)動物取扱責任者とは
 専属の常勤職員のうち、業務を適正に営むために十分な技術的能力及び 専門的な知識経験を有する者として一定の要件を満たした者です。
動物取扱責任者については別の記事で説明したいと思います。

5.犬猫等販売業に関する上乗せ基準
・犬猫等健康安全計画の策定と遵守
・獣医師との連携の確保
・販売困難な犬猫についての終生飼養の確保
・56日齢以下の販売制限 
→販売業者にのみ適用される基準です。生後56日(8週間)以下の犬猫の販売は禁止されています。(もし、生後56日以下の子犬、子猫を販売しているようなペットショップがいたら、それは違反なのでそのようなショップで購入するのは避けましょう)

6.特定動物の取り扱い場合

特定動物の飼養・保管には事前に東京都知事の許可を受けなければならないため、東京都動物愛護相談センターへの事前の相談が必要になります。
なお、特定動物は以下の通りです。
https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/douso/tokuteidoubutsu/shiyou.html

■都道府県の立入検査・罰則など

必要に応じて都道府県等の動物愛護担当者が立入検査を行い、守るべき基準が守られていない場合や動物の管理や施設が不適切と認められる場合は、都道府県知事や政令指定都市の長から改善の勧告や命令がなされます。
悪質な業者に対しては、登録の取消しや業務停止命令が行われることがあります。なお、登録の効力が失われたときや登録を取り消された後も、その事由が生じた日から2年間は、立入検査等の対象になります。

登録せずに営業した場合や改善命令や業務停止命令に従わなかった場合は、100万円以下の罰金に処せられます。
また、登録内容の変更を届出なかったり、虚偽の報告をした場合にも30万円以下の罰金に処せられます。

■申請・届出等の手続き

第一種動物取扱業については以下のような申請、届出が必要になります。
①第一種動物取扱業の登録申請
②第一種動物取扱業登録証再交付
③第一種動物取扱業登録更新(第一種動物取扱業の登録は5年ごとが必要)

東京都保険医療局 東京都動物愛護相談センターHPより

④第一種動物取扱業変更届
⑤廃業等届出
⑥附則に基づく営業開始届出(犬猫等の販売業の場合は動物愛護管理法の附則第3条第2項の規定に基づく届け出)
⑦定期報告届出書(以下の項目を報告書に記入、届け出が必要で)
 ・年度当初に所有していた動物の合計数
 ・年度中に新たに所有するに至った動物の月ごとの合計数
 ・年度中に販売もしくは引き渡した動物の月ごとの合計数
 ・年度中に死亡した事実が生じた動物の月ごとの合計数
 ・年度末に所有していた動物の合計数

最後までお読みいただきありがとうございました!

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