見出し画像

自分の仕事の棚卸し

これまでに訳した分量等を確認する必要があり、翻訳会社への初登録以来、担当してきた案件の棚卸しをしました。仕事開始当初は作業時間と案件の概要はメモしていたものの分量を一覧にしていなかったため、保存していた取引先からの発注書メールをひっくり返すことに。

全部足してみたところ、件数としては200件強、語数にすると英日翻訳は数万語でしたが、受注することが多い日英チェックのほうは100万字を超えていました(原稿ベース)。まさにチリツモ。一度に万ワード単位の案件も珍しくないこの世界ではさほど大きな数字ではないと承知しつつ、小型案件を積み重ねてきた自分でもここまで来ていたか~と感慨深かったです。

初登録から出産までの仕事内容も簡単に見返しました。最近はちょっと行き詰まりを感じていましたが、産前はいま以上にいろいろな分野の翻訳案件を受注し、朝原稿がきてお昼に納品といった超短納期にも対応していた自分が浮かび上がってきました。翻訳スピードが遅く、まとまった量は引き受けられない私にも可能な案件を、翻訳会社の方ができるだけ振ってくださっていたことを感じました。以前からの知り合いが個人でご発注くださったこともありました。ありがたいことです。

こちらこちらの記事で少し触れましたが、初めて翻訳会社に登録した翌年あたりから出版書籍の下訳をやらせていただくことになり、翻訳会社から受注する実務翻訳と並行して進めていました。哲学と文化人類学が入り交じった難解な書籍で、翻訳スピードを上げるうんぬんを考える余裕はなく、地を這うように1日1日訳していました。上訳者の方のご厚意に最大限に甘えて心ゆくまで本と格闘していたこの期間があるため、フリーランスになってからの年月はたっているわりに、私の実務での実績語数は多くありません。さらに年収で換算すると、経験年数は実際の7掛けといったところです。

出版翻訳のなかでも輪をかけて独特なこの本の下訳を経てそのまま育児期間に入ったので、復帰してからも、どうも実務翻訳のカンが戻っていないような気がしています。というか、そもそも実務翻訳のカンを鍛えるまえに育児に入ってしまったというのが実情です。年数からいえば鍛えられていたはずの翻訳スピードも産前に十分上がっておらず、そこで一度休業をはさんだことが、最近の行き詰まり感の原因のひとつかなと考えています。それでも、あの本の下訳はほかでは得られない貴重な経験でした。同書は子どもが生まれてから無事に刊行され、書店に並びました(下訳について公開することに上訳者の方からご承諾をいただいていましたので、リンクでご紹介いたします↓)。

今回の棚卸しは、新しいチャレンジのため。棚卸しで自分がほそぼそながら経験を重ねてきたことをあらためて認識できたので、それを今後につなげられるように、実務翻訳の基礎をしっかり作り直すための方法もいま検討中です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?