香月 聡

小説を読んで、書いて。文章の映す世界に浸ってます 四国が好きで遠方からお遍路さんしてま…

香月 聡

小説を読んで、書いて。文章の映す世界に浸ってます 四国が好きで遠方からお遍路さんしてます。 あとはお酒も。

最近の記事

【掌編小説】夜な夜なこの街でたいてい、すれ違ってる

(あらすじ)  とある街に住む住人たちのお話です。一話完結で、何人かの日常について書く予定です。 どこかすれ違っている人たちの日常を垣間見れたら、いいのにと思って書てみた。 鷹野亜耶(23歳)の場合 上京を控えていた頃、何気なく流れていた安い物件を紹介する番組でこの街のことを知った。 阿佐ヶ谷。 田舎者ながら高円寺や中野という地名には聞き覚えがあったが、それらの街のもう少し西にある中央線沿いの、阿佐ヶ谷という街の存在は知らなかった。 配属先となる新宿や渋谷などにも出

    • 名古屋•下呂温泉へ②

      京都•比叡山の次は名古屋、下呂温泉へと行きました。まだ①を読んでいない方は読んでいただけたら嬉しいです♪ 名古屋(美味しいもの巡り) 比叡山を下り、お土産をたんまり買ってから 名古屋へ。中心地の栄で従兄弟夫婦と合流して食事会。焼き鳥のお肉が柔らかくて美味しい!お酒も進む。 翌日、モーニングを食べよう!とはりきっていたけれど、お土産を買って店に到着した頃には正午過ぎ。 モーニングあきらめ、ランチを注文! 天井にはドライフラワーが飾られ、古い傘型ランプの光が心地よく店内を

      • 京都•比叡山の旅①

        車を走らせること6時間、 京都•比叡山を訪れた後、 名古屋から下呂温泉と巡ってきました。 (小説の舞台の下見も兼ねているのは秘密で)旦那と両親と行ってきました。 京都(知恩院•八坂神社) まずは知恩院を訪れたい。と、その前にお昼を食べに京料理のお店へ。とても美味しかった! ご飯を食べてから八坂の塔を通り抜け、知恩院・八坂神社を目指す。 修学旅行の記憶が蘇り、それ以来の訪問だと気がつく。時の流れがこわい・・・ 知恩院では丁度この日から御忌大会(ぎょきだいえ)の法要を

        • 高遠の花見をした話

          長野 高遠にある「天下第一の桜」を見てきました。 今年は存分に花見ができてとても幸せです。 車を走らせていくと雲の切れ間から 青空が広がり、到着する頃には気持ちの良い天気になった。 城跡に咲き誇る1500本の桜と青空に霞む山々が素晴らしい。 夢中で写真を撮っていく。 平日にもかかわらず、たくさんの観光客で賑わっていた。 桜雲橋はその名前の通り、 ピンク色の雲海に架かる橋のよう。 城跡を散策して清々しい気持ちで満たされていく。 その後は山梨の蕪の桜へ。 八ヶ岳や甲斐駒

        【掌編小説】夜な夜なこの街でたいてい、すれ違ってる

          お花見と念願の飲み屋の話

          以前住んでいた阿佐ヶ谷の飲み屋で仲良くなった方々や友達とお花見をしました! その前に新宿三丁目にある、有名な「どん底」へ。念願だったお店です。 蔦で覆われた外観が、堪らなくいい。非現実的でディープな雰囲気に胸が高鳴ります。 薄暗い店内にはカウンター、いくつかのテーブル席があります。地下1階から3階まであり、かなり広そうです。かつて三島由紀夫も通った場所のよう。 食事メニューも豊富で、チーズミックスピザや白レバーのパテなどを注文しました。 どれも美味しかった♪ その後

          お花見と念願の飲み屋の話

          【短編小説(10話完結)】ブルーベールに集う(最終話)

           「あの世界にいた子供のままなの。何かが変わったり、失ったりすることをただ見つめることしかできない子供なんだよ、わたしは。」 「・・・亜耶。」 「わたしは、ブルーベールにいた頃のエトランゼのまま。この世界でもそう。どこから来たのか、本当はよくわからない。」 「・・・。」 「ここで自然と生きてきたはずだったのに、ある時から違和感みたいなものを感じるようになった。感情が薄れて、体は中身が抜け落ちた入れ物みたいで、周囲の会話は機械的な言語に聞こえた。言葉がわからなくなる、そうする

          【短編小説(10話完結)】ブルーベールに集う(最終話)

          【短編小説(10話完結)】ブルーベールに集う(9)

           小さな瞳から透明な涙が溢れ、鼻と頬を赤くして泣いているのは、まぎれもない、面影を残した幼い頃の亜耶だ。  海面に座り込み、項垂れる亜耶の腕を掴むが、振り解かれる。     先ほどまでの輝きが薄れはじめ、前を見ると海に伸びる光がだんだんと小さくなっている。    少女の体を無理やり引き剥がすように持ち上げ、左腕で抱えて走った。腕の中で暴れながら亜耶は泣き続けるが、離さないようにぐっと力を込める。  何が何でも帰らなければ―。    光の中に入ろうとすると、滝のように流れ落

          【短編小説(10話完結)】ブルーベールに集う(9)

          【短編小説(10話完結)】ブルーベールに集う(8)

          少女はバターが塗られたパンと大きな野菜がごろごろと入った熱いシチューを置いた。  いただきます、そう言ってスプーンを手に取り、すくって口に入れる。途端に空腹が体内を押し上げ、夢中でシチューを口に入れ、パンを貪るように食べる。  ふふっと微笑んでいるのか、相変わらず影で覆われて見えないが、少女は満足気に想を見つめているようだった。 「ふぅ、腹いっぱいだわ。すごく美味しかったよ、ありがとう。」 「なら、よかった。おじさん、わたしお願いがあるの。」 「何かな?」 「この島か

          【短編小説(10話完結)】ブルーベールに集う(8)

          【短編小説(10話完結)】ブルーベールに集う(7)

           船が目の前で止まると、ぼろ切れの衣装に剥き出しの骨のような手でパドルを握る顔のない船乗りが座っている。 思わずぞっとし、躊躇いを感じていると先ほどの小鳥が羽ばたいている。再び肩にのり、誇らしげに小さな胸を突き出した。 「そうか、お前が呼んでくれたのか。なら、乗らないとな。」 そう言って、舟に乗り込んだ。  顔のない舟乗りはひたすらパドルをこぎ続け、すぐに島までたどり着いた。海岸に近づくと、一人の少女が砂山を築き上げている。ブロンドの髪にミントグリーンのスカートが風に

          【短編小説(10話完結)】ブルーベールに集う(7)

          【短編小説】ブルーベールに集う(6)

           朝焼けとともに昇る太陽はやがて西へと傾きながら海を染め、静かな夜を迎える。そして再び広がる青空を見つめながら、ぼんやりと途方にくれていた。  さすがに飽きていた。起き上がり、あぐらをかいて胸ポケットから古びた茶色の箱を取り出し、リトルシガーに火を点ける。口に広がる苦味はだんだんとカフェラテのような味となり、口の中に煙をためてからゆっくりと燻らせた。  高円寺のシーシャバーで働いていた頃を思い出した。フルーツやスパイスの様々な香りが薄暗い中に充満し、ワールドミュージックが

          【短編小説】ブルーベールに集う(6)

          【短編小説】ブルーベールに集う(5)

           灼熱の白い太陽が目の前にあるにもかかわらず、暑さを感じることはなかった。 青年は概念を持たぬ老人に自分の話を聞かせた。  パッケージやロゴデザイン制作を担い、キャリアを積んだ後に、現在はプロジェクトを完遂するため指示、管理を行っていること、いつかセトウチに戻り、友人と独立して会社を持つ夢があること、心から愛した女性と思い描く将来にずれが生じ、結果的にその女は違う男を選び、初めて打ちひしがれた過去のこと。  老人は聞きなれない言葉を繰り返しなぞりながらも、じっくりと青年

          【短編小説】ブルーベールに集う(5)

          【短編小説】ブルーベールに集う(4)

           ソーダ水のようにしゅわしゅわと泡が上っていくのが見える。 口の中に潮水が流れ込み、息ができない。  沈んでいく体でもがいていると、目の前でしぶきを立てながら何かが水中を割いた。その一瞬、棒のように見えたそれにしがみつくと、浮き上がり、白く光った先で視界が開けて息が出来るようになる。  肩で激しく息を切らしながら辺りを見ると、そこはやはり海であった。眩いほど鮮やかな真っ青な海の上で白い光が跳ねている。正面を向くと、しがみつくパドルを華奢な腕一つで持つ老人と目が合った。次の

          【短編小説】ブルーベールに集う(4)

          【四国一周】色どりの旅②(高知~愛媛)

          前回の続き、新婚旅行で四国一周をした思い出を振り返りたいと思います! (2022/12/12~12/16) ①をまだご覧になっていない方は、下記リンクからご覧いただけると嬉しいです。 Day1-2 桂浜・四万十川へ(高知) 桂浜に着くと巨大な龍馬像が立っていました。 天気も良く、青々とした松と海が素晴らしい。 夜は月の名所として知られ、海面が月の光に照らされるそうです。 砂浜には赤・緑・白・黒・灰色の五色の石があり、 全部集めるとご利益があるそうです。一生懸命集めて持

          【四国一周】色どりの旅②(高知~愛媛)

          【短編小説】ブルーベールに集う(3)

           居酒屋から出て、高架下を通り、スターロードへと歩いていく。互いに何も話さずとも、同じ場所を目指しているはずだった。冷えてきた体に夜の賑わいが熱を帯び、微かな酔いを心地良くさせる。 「仕事は順調?」 「相変わらず派遣社員だよ。独り身で非正規だから、この先不安だよ。まるさんはどう?」 「楽しいよ、仕事。ディレクターになって、みんなをまとめるのたいへんだけどな。」 「すごいね。今のデザイン会社入ってもう長いよね。」 「そうだな。俺も今は女いないけど、充実してるからよし。」 「な

          【短編小説】ブルーベールに集う(3)

          【短編小説】ブルーベールに集う(2)

           ビールジョッキにお通しの枝豆、豆腐サラダ、唐揚げなどが次々と置かれていく。ジョッキを手に取り、亜耶、来てくれてありがとうな、マスターに献杯、そう言って重ねた。サラダと唐揚げを手際よく取り分け、亜耶に渡す。空腹なはずだが、あまり食欲はない。丸野はテンポ良く口に入れ、ビールを流し込んだ。  地元に戻ってほどなく、彼とマスターに一度会いに行ったことがあった。微睡む春の陽気に包まれながら、善福寺川の満開の桜を見た後にパールセンター商店街にある居酒屋で飲み、夕方二人に見送られながら

          【短編小説】ブルーベールに集う(2)

          【四国一周】色どりの旅①(香川~徳島)

          以前、新婚旅行で四国一周の旅に行きました。(2022/12/12~12/16) 念願の一周旅、その思い出を振り返りたいと思います! 寝台列車サンライズで出発!(東京駅~高松) 夜22時、東京駅から寝台列車サンライズで出発。それから朝7時半の到着まで列車に揺られます。 サンライズは一台の列車が岡山で出雲行きと高松行きで分離します。 おお!瀬戸内だ〜車窓から見えてきた瞬間 真っ新な一日のはじまりに静かな海の朝焼けが心を打つ。 栗林公園からこんぴらさん(1日目 香川)

          【四国一周】色どりの旅①(香川~徳島)