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映画と。④

こんにちは、はくれぽ!のきねれぽ!です!(!)

今回の作品はこちら〜

バカ塗りの娘

(監督:鶴岡慧子

タイトルの「バカ塗り」とは津軽塗りのことを指します。
津軽塗りは通常の漆塗りよりもかなり厚いらしく、何回も何回も何回も……バカみたいに漆を塗っては研ぎ、塗っては研ぎ……を繰り返すのだそうです。
なのでとても堅牢、かつ優美。
恥ずかしながら、漆器にそんな違いがあるとは知りませんでした。

そんな津軽塗りを生業とする父と娘、そして家族の物語です。
原作は髙森美由紀 著『ジャパン・ディグニティ』,産業編集センター刊。
地元青森で働きながら制作活動をされている方だそうです。

映画は少し設定が違うらしくその理由を聞いて、なるほど!と思いました。
内容に関わるのであまり言えませんが、だから観ている方も無意識にそのシーンのアクセントを感じ取れたのかもしれません。

私的トピックは、津軽塗りのシーンです。
父と娘が、ひたすら津軽塗りの製作取り組んでいる時間がかなり長く流れます。
それだけ聞くと、一見退屈そうですね。
いいえ違います(反語)。

この音こそが、いいんです!


映画の見せ方や効果などはわかりませんが、余分なものがないというか、邪念や雑念がない空気感というか。

ストーリーも、前々回の「高野豆腐店の春」のように静かな日常から、え?えぇ?あれがそれ?と小波が立ち始め、やがて大波が来る…っ、という展開でした。

大波といっても、誰もが「あぁ、なんかわかる」と思うような家族や他者との関係性で、今回も色々な年齢層の人に刺さりそうな作品でした。

そして〜なんと!
人生初⭐︎監督舞台挨拶というものに参加してきました!
とても小さな映画館なので、ちょっとした広めのカフェくらいの距離感で制作秘話?などを伺うことができました。ほっこりした雰囲気でとてもよかったです。
なにより監督と話す映画館の支配人さんがニッコニコなんです。いつも行くとちょっとこわいイメージだったので意外でした。それだけ、映画が好きなんだろうなぁとも思いました。

そしてそして〜
パンフレットに鶴岡監督のサインをいただきました!
映画のパンフレット買うなんて何年振りでしょうか。

ちょうど、ある伝統工芸品である、やきものの成り立ちを調べていたところなので、「津軽塗りの現状や抱える課題が、とてもよくわかりました。なにより津軽塗りの製作過程がとてもよかったです←ココ大事」と、ゴニョゴニョと伝えました。

それぞれの人が、熱量多めの感想を長めに(笑)話されていたので、監督はなんだかウルウルされているようでした。

蛇足ですが、日本の伝統工芸品はおそらくどこでも継承者問題や経済的な問題に、この何十年向き合っていると考えられます。
監督が舞台挨拶でもおっしゃっていましたが、自分の地域の伝統工芸品を知らない人が結構いる、ということです。

自分自身もそうですが、知ってはいるけれど使っていなかったり、本当に知らないこともあります。
伝統工芸品は、今の時代から見ると古く感じたり、一見おもしろみがなさそうに見えるかもしれませんが、実際に使ってみると「人のために作られたもの」であることが実感としてわかります。

また最近の作品を調べたりすると、ビックリするくらい洗練されたオシャレなものに生まれ変わっていたりするものもあります。
それはその地域の人たちが、努力をしていることの証なんだとも思いました。

ただ、例えばこの作品を20代の自分が見て、同じようなことを感じるかと言われれば……。
伝統工芸品や古い映画館なんていうのも、自分が歳を重ねてきたから良さがわかってきただけかもしれません。

…この感性10代20代で欲しかったなー。

今回は、いつもはポツポツと人がいるだけの映画館に、多くの人が訪れていて華やいだ雰囲気だったのも、かつての映画館の姿を彷彿させるようでした。
(実際に昔の様子は知らないのですが・・・)
また、映画監督の舞台挨拶に参加することで、普段なら「あそこの意味ってなんだったのかな?」とか「あのシーン良かった!」といった感じていたことの、答え合わせができるようで、とても良い映画体験ができたと思います。



以上、きねれぽ!でした


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