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家族のあり方/父の死

タバコが嫌い。
父はイライラしていると煙草を吸うので、今でも煙草の匂いがすると不安と恐怖を覚える。それが父の愛用していた煙草の匂いだと、なおさら。

暴力も嫌い。
父は口よりも先に手が出る性格で、何がきっかけでキレるのかも分からない人だったが、父が見ていないところでの兄からの家庭内暴力はさらに理不尽なものだった。

アルコールも嫌い。
父がアルコール依存症だったし、母もアルコール依存気味だと思う。健康を害して、周囲に迷惑をかけても飲酒をやめられない。



父親との思い出は、嫌なものが多く、恨んでいた時期もあったが、記憶にある父との思い出の中から良いものを探してみると、複雑な感情になる。


子供への愛情がなかった訳ではないと思う。
でも、子供と「どう接すればいいのか」が分からなかったのかもしれない。

「親から抱きしめられたことがない」と言う父は、寝る前の「おやすみ」の時に、子供達を抱きしめることを習慣にしていた。

父は妻と離婚した後も子供達に母親の悪口を吹き込むようなことは一度もなかった。 夫婦間で、どのような事情を抱えていたとしても。(父親が違う兄弟達と比較され、周囲から疎まれ、虐げられて育った父は、幼少期に似たような経験をしたのかもしれない)



父が居なくなったことで起きた弊害は、家に男が出入りするようになったことや、10歳上の兄から妹への暴力が、虐待から殺人未遂レベルになったこと。

母は経済的な不安や、1人で子供を育てることへの心理的な不安を抱えていたが故の行動だったのかもしれないが、長男に関しては元からクズだったのが、父親の制御がなくなり、母親が家にいない時間も多くなったことで【引きこもり家庭内暴力・ゲーム中毒アニオタNEET】のゴミになっただけだと思う。



父の存在について、母や兄姉達がどう考えているかは分からない。家族に必要な存在だった? それとも不要な存在だったのか?


血が繋がっていても、家族も所詮は他人。
性格が違う。考え方も違う。価値観も違う。

「家族だから」という理由で、理解し合えるものではない。一緒に暮らせるわけではない。

“家族”を美化しすぎた結果、子供や親、妻や夫に自分の理想を押し付け合い、互いに傷付け、私達は苦しんでいたのかもしれない。



他人と向き合う時、自分の理想を押し付けてばかりでは、人間関係が崩壊する。 そんな当たり前のことを、一番大切な存在に対してやってはいないか?


子供は親の言うことに従うべき…
親は子供のために生きるべき…
夫婦はどんな時も互いに愛し、尽くすべき…
家族だから分かってくれるはず…

家族という呪縛も、
家族という幸福も、
“家族だから”という甘えを捨てて、
相手を一人の人間として尊重し、
自分と異なる考え方を受け入れ、
異なる価値観を認め合い、
互いに愛することができたなら、


もっと、違っていたのかな。




いまさら、だけど…
父の葬儀に、そんなことを思う。

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