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人は時々思いもよらぬ事を口にする。

自分でも未だに何故だか解らない口から出た一言がある。
息子がまだ4才の頃、顎の骨の中に腫瘍が出来て手術する事に、幸い良性の腫瘍で摘出すれば大丈夫とのこと。
まだ4才、何もわからないけど、何かしらが行われることはちょっとわかる。麻酔をする直前まで流してくれるというアニメのDVD を一生懸命吟味している彼を見ていると泣けた。

なんやかんやで手術は終了し、手術室から執刀医の先生、関わってくれた先生達がわらわら出てきて「手術成功しましたよ!顎の骨も奇跡的に折れませんでした!」手術前、先生は「この手術で彼の顎の骨は多分折れます」と宣言していた、それほど彼の顎の骨は腫瘍により薄っぺらくなっていた、だけどこの手術では折れなかった!
本当に良かったと喜び合い、先生に感謝感激といった所だ、しかしその後、先生は「でも多分生活してたら折れる可能性高いよ、まあ、折れると思ってね」と一言、「あ、やっぱ折れるんかい」
先生はどんなことに気をつけるかなど教えてくださり、私も『よし!息子の顎の骨は私が死守する!』と意気込んで、いっぱいいっぱいになった頭であれこれ考えていると先生が「何か今聞いておきたいことある?」
私は一瞬じっと考えて、色々聞きたいのに、ようやく出てきた言葉は、

「おかきは大丈夫でしょうか?」

だった。先生もちょっと困惑していたように思う、「おかき…ですか?」
しかし、気を取り戻した先生はしっかりアドバイスをくれました。

側で聞いていた夫も『え!?今、おかきって言った?』と内心思ったと後に語っており、あと隣にいた麻酔科の先生にニッコリと「おかき好きなんですね?」と聞かれちょっぴり恥ずかしかったとも、すまない…

ちなみに息子がおかきを好きだと自身で明言したことは無い。

そして彼の顎の骨はおかきを食べなかった事によるかどうかは不明だがその後も折れずになんとか乗り切った。

なんで「おかき」… 謎だ。


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