ぼた餅ァいらんかえ(4)終
喜左衛門は自責の念と恐怖で恰幅の良い身体が
すっかり病み衰えてしまい食も喉を通らなかった
仲間の次郎兵衛という者が詳細を尋ねると目を丸くし 上役に事の仔細を話し 喜左衛門に暇を出した すっかり弱ってしまった喜左衛門は歩くことが不自由になり 駕籠で村の外れにある
佐一の墓の前で行ったかと思うと土下座し 詫び証文を供え
念仏を唱えた その晩 あのぼた餅を食べた旅籠で泊まるとぼた餅ァいらんかえー…ぼた餅ァいらんかえー…と聞こえ出した時 喜左衛門はいよいよ震えだした 目をつぶっていた