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【散文詩】半自動筆記に依る夜想曲(21)-1:『For Answer』-1

 拝啓、如何お過ごしでしょうか。そんな堅苦しい前置きは、私と君の間柄には相応ふさわしくないね。
 以前に貰った便りに、君はちょっとの近況と、それから沢山の思い出を書いて呉れたね。とても懐かしくて、優しかったあの日々を。
 手紙は、今では地獄の一丁目とそう大差無い、最低に最悪を上塗りしたような酷いところに居るけれど、君と過ごしたあの幻夢境のような、柔らかくて、暖かい日々を、君への感謝と共に思い出さて呉れた。

 だけど、反面私は怖くもなったんだ。
 今の私は、海のものとも山のものとも、下手をすれば、生命いのちあるものでも、この星のものともつかない怪物に囲まれて居るのだもの。
 そんな私が、今も変わらず白百合のように清らかなままで居る君に、返事を送って良いものかと、ずっと、考えてた。

 迷いながら、手紙を書き上げた後も、なんだか送る気になれなくて、大分時間が経ってからもう一度読み直して、こうやってもう一度書き直した。
 私は勤勉な方では無いけれど、だからと言って、伊太利イタリア人のように怠け者じゃない積りではいる。
 ごめんね、返事が遅れて本当に申し訳ないと思ってる…。

<続>

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