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みどり色のペンで「ありがとう」を伝えたくて

(正源の娘の雑記)

さみしさのつれづれに
手紙をしたためています あなたに黒いインクがきれいでしょう
青いびんせんがが悲しいでしょう

さみしさだけを手紙につめて
ふるさとに住むあなたに送る

あざやか色の春はかげろう
まぶしい夏の光は強く
秋風の後 雪が追いかけ
季節はめぐり あなたを変える

 井上陽水『心もよう』一部抜粋

 いろいろあった1年が終わる。
 一つ前の冬、母を引き取ったものの在宅介護に挫折した。覚悟を持って万端の準備を整えて迎えたはずだったのに。要介護5、半身不随、難聴、脳梗塞の後遺症で失語症。すぐに私の名前は出ない。でも「うちの子」と言う。それにも慣れた。
 うちにあてはめる字は、家かなあ、私を意味するうちかなあ、現在時々考えたりするのは自分に余裕があるからだ。

 話せる少ない言葉だけで私を追い詰める母が怖くて、憎くて、嫌いになっていく。私の好きなお母ちゃんはどこへ行ってしまったのかと毎日泣いた。あの冬の日々は私の心と身体を潰していった。母の笑顔も消していった。限界が来るのは早かった。ケアマネさんが離れることを推してくれた。あまりの短期間の介護離脱に、もう少しがんばれと励ますのじゃなくて、理解してくれる人が他人でありながらいてくれることがありがたかった。

 一生懸命母の住処を探した。特養は直ぐに入れる条件を満たしていない。老健の3ヶ月毎の転居を繰り返して日をやり過すのも嫌だった。有料老人ホームは高すぎて無理だ。なのに私と来たら理想が高い。たぶん母には自分がどこに居るのかわからないだろうけれど、母の愛した場所、嫁ぐまで過ごしたところに少しでも近い施設に私がこだわった。
 そして見つけた空室残1部屋はサービス付き高齢者住宅で、電話の向こうの人に「明日契約しに行くので仮押さえしてください」と、一か八かの判断で選んだ施設は運が味方してくれたと満足していて現在に至っている。
 ただサ高住に住んで訪問介護とデイサービスに介護保険の支給額をマックス使い、足りずに母の蓄えを崩し、限界の期日は確実に来るので、お気に入りの住まいと言えども安住の地ではない。だから次の最期の住処を、併願が当たり前だという申し込みに、今の住処に程近い特別養護老人ホームを専願で、母と私の幸運を信じキーとなる3年を待っている。

 春には、夫が病気をした。
幸い現在元気にしていて、昨日から治療的処置のため3回目の入院中だ。(元気の使い方がおかしい?)
 不可逆性な病気だ。後一晩遅かったら朝息してなかったよ、とドクターに言われた。運のいい人だ、とも言われた。
 だから治療中と言えども「元気」でいいのだ。

 夏は、「羽生結弦」が結婚をした。なかなかの衝撃的な発表ではあったが、絶対的にめでたい出来事だった。おかげで自分が新しい財布を使い始めた日を忘れないし、この一粒万倍日に大安が重なる日に一人銀座に滞在していたこともきっと一生忘れない。全てはGUCCI銀座へ行くために。

 秋が来て、またもや羽生くん!衝撃が過ぎるぞ。かつてから羽生くんはジェットコースターだった。それに乗り込むことは恐さよりワクワク感が勝ってた。終着点はいつも喜びだったから。今回はなかなかジェットコースターから降りられなくて私の長い長い秋になってしまった。
 巡って冬、幸せが再生されていく予感。暖冬だと言われているけれど、雪が降り積もる日も絶対にあるし、氷でスベって転ぶかもしれないし。でも冬至を過ぎて日はまた明るさを増してゆく。

 年賀状は書かれましたか?
少ない枚数とはいえまだ何も用意ができていない。毎年のことながらこのまま大晦日まで突っ走る私。来年の手帳だけは買った。

 私の手帳はみどり色のペンが主役。書きやすい、きれいに見える、落ち着く、言葉に正直になれる、意図しなかったけれど私の中ではいつしか羽生色。

 ほんとうは手紙をこのみどり色のペンで書いて送りたいんだ。みどり色の文字の手紙見たことないし、黒か青だ。手紙文字の色には決まりがあるのかしら。赤で名前を書くなとか言うじゃないか。文字も縁起ものなのかなあ。
 昨夜TVで愛之助さんが、紀香さん直筆デザインの年賀状はそれは達筆炭文字なのだけれど、背面に入れる大きな筆文字の色が薄墨のように見えて、正月に相応しくないと指摘していた。背面の筆文字は薄い色でもグリーンやイエローに修正された。気持ちを注ぎ込んで作られたこの一枚がご贔屓筋其々に元旦に届くのだな。
 文字も色も人によって受ける印象は違うのだろうけれど、間違いなく貰って嬉しい一枚に違いないと思った。

 みどり色のペンで書いてみようか、私を理解してくださった方に、喪中で新年のごあいさつができない方に、今年の全てに感謝を込めて。

 年内にまた記事を上げるかもしれませんが🙇

みどり色のペン


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