見出し画像

*リナちゃん・2

親友のリナちゃんは片付けられない女だ。
一人暮らしのアパートに遊びに行くと
『適当に座って〜』と言って
座った、目の前のテーブルには
作りかけの、トートバッグの布の切れ端
趣味のカメラ→中古で買ったって
言ってたけど一眼レフのイイやつ
食べかけのポテトチップス
メイクボックスなどなど
ありとあらゆる物が雑に置いてあって
山積みになっている状態だ。

『コーヒーでも淹れるね〜♬』と
鼻歌なんて歌いながら
台所もグチャグチャに物が乱雑に
置いてあるのに
探す様子もなく、ピタっと慣れた手つきで
コーヒー豆を手動のコーヒーミルで
挽いて、淹れてくれた。
しかも、センスのいいのマグカップで。

テーブルの上をかきわけて
『置き場がなくてごめんね〜』と
今にも雪崩が起きそうだ。

部屋中はフルーティーな酸味のある
コーヒーのフワフワな香りで
いっぱいになってた。

リナちゃんの淹れてくれたコーヒーは
驚くほど心にしみた。

オシャレなカフェで飲むコーヒーより
リナちゃんのグチャグチャな
乱雑な部屋で飲んだコーヒーの
ほうが数倍美味しかった。

リナちゃんっていつも世の中の
常識を覆して、たくましく、しなやかに
自由に生きている。
途中でいつも大丈夫かなぁって
心配になるけれど
結局最後は帳じりをピタっと
あわせて、ニコって笑ってる。
流石!と言わざるおえない。

自由奔放で天才的な
魅力たっぷりなリナちゃんが
なんて私と仲良くしてくれてる
のか分からないんだけれど

出会って10年目の夏がもうすぐ
やって来る。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?