十二月は、冬のはじまりのニオイがする
透き通るような
今にも、落っこちてきそうな
低く、どこまでも広がった
青い空の下

鼻から空気を吸いこむと
まつ毛の先まで
冬のニオイで満たされる

『何、ボッーとしてるんだよ！ダッサー』
patagoniaのネックウォーマーの君が
目を細めながら、足早に通りすぎる

お揃いにしたくて
こっそり買った
君に気づいてもらえない
patagoniaの手袋は
コートのポッケに突っ込んまま
出せずにいる

今なら、走ったら、駆け出したら
君の後ろ姿に追いつくかもしれない

深呼吸だけした、、、

やっぱり…今は、踏み出せない

『ねぇ、このまま、ずっとこれから先も
後ろ姿を見ててもいい…？？』

あっ！また、今、冬のニオイがした

今にも落っこちてきそうな空の下
冬のニオイが
私の気持ちも連れてきた

シロクマ文芸部に参加させていただきます。
ありがとうございます✿︎