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10月の中頃。


浦安で花火大会が開催されるらしかった。行こうと思っていた公園に行けなかったから、いつもの場所になった。待っていたら彼が来た。今日は長袖を来ていた。

私も今日は長袖。最近買ったスカートを履いていった。この冬は、どんなおしゃれをしようかな。定期的に人と会うことは、違う自分になれる。対面で話すと刺激になる。今日の彼も、定期的に会いたい人の一人。

海のほうまで歩いて行った。バーベキューや釣りをしている人がいた。バーベキューの時に、どう立ち振る舞うかで、いつも迷う。
ただ食べているのもいやだし、なんとなくあぶれてしまうこともあって、心が落ち着かない。そういう時は肉を焼く係になればよいということ。

人生の中でバーベキューをすることは幾度かあった。
なんで人はバーベキューをするんだろう。
私は田舎育ちで、自分ちの庭がバーベキュー場みたいな場所で育ったから、特にありがたみもなかった
焼いた食べ物がすべて焼き肉のたれ味になることも、あまり好きになれなかったけど、大人になって、
外で肉を焼いて食べることに楽しみを見出す人がいることを知った。
この先、バーベキューでの立ち振る舞いにあまり悩みたくないな。
網の上にあるもの、誰がどれくらい食べるのか、考えていると疲れてしまって、笑

集団で食事をすることが、最近すごく苦手になっている。
誰かと二人、がとても好き。全部半分にすればいいから。

彼とテトラポットの上で話した。
学生の頃は、同人誌を作ったことがあるということだった。私の地元にもアニメイトがあって、よく通っていた。
インターネットを触り始めて、同人誌を通販で買ったこともあった。東京に住んでいたときは、同人誌を買いあさった時期もあった。

初めてアニメイトで、幽遊白書の二次創作を目にしたとき、衝撃を受けた。
好きな漫画のキャラクターに別の世界があったのか、とか、こういう風に自分の価値観を表現していいのかと、。
でもそれを買ったこと誰にも言えなかった。
今思えば、それを共有できたら学生生活がもっと充実していたのかも知れない。
作品への愛、究極なまでのエゴを剝き出しにしたこんな風に自分の思っていることを形にする場所があり、
別のドアを見つけたようで興奮したことを思い出した。エログロナンセンスの文化感、私には刺激が強すぎて途中で離脱してしまったけど
どんな文化も、何かから影響を受けて大きくなる。
真似から始まる。

私の身近な人にも漫画を描いている人がいる。
趣味で楽しく描けているうちはいいが、描き続けるうちに、誰かの承認が得られないとだめ、みたいな価値観に触れ
描きたいものより求められるものを描かなければ、という気持ちになってしまうという。
「上手だね」と言わないで、と、再三言われる。「いい絵だね」というといい、と。
大人になるにつれ、決まったことから逸脱しないように教えられて、考えないようになっていく。
自分を表現するって楽じゃない、苦しいならやめればいいと簡単に言われるけど、描かずにはいられない、
人からよく見られなくたっていいじゃない、と言われても、承認されたい、しかし自分のありのままを表現したい、その二つの葛藤があると。

自分らしさを確立するのは容易ではない。
最初はすべて真似から始まる。真似して真似して、完璧なまでの模倣の先に、新しい世界が広がる。

隣に座っている彼は、1年くらいの付き合いになるが、その彼にも、オタク活動に熱中した若い頃があり、
忙しくても自発的に楽しくやってた時間があったんだと思うと、妙に嬉しくなる感覚があった。

同じ時代を生きた共有感覚は喜びをもたらす。過去に縛られたくはないけど、ノスタルジーに浸って快感を得ることは悪くないなと思った。
この後サイゼリヤに行ったけど、これもすごく懐かしい気持ちを刺激されて大変良かった。
高校生の時と変わらない画一的なサービス。くぐもった音の呼び出しボタン。

にんじんしりしりとグリーンピース。カルボナーラ。彼のおすすめの焼き鳥風ラム肉。
二人でシェアしておなか一杯になって、サイゼリアを後にした。
どこにいても、店舗に入れば高校生の時代を思い出せる。深夜に友達と二人で話したり、文化祭の打ち上げでクラス全員で使ったり、
私は、繰り返すことが好きなので、同じところに何度も通ったりすることに喜びを見出すことを再確認。

所謂、青春時代の素晴らしさを振り返るのではなく、昔があって今があると考えたい。こうした過去の経験を、かつての世界にしがみつくためでなく、現在を満喫するために、利用したい。
「昔は良かった」といってそのままにするのではなく、「その後の人生にはどんな意味があったのだろう」などと、実存的な観点から問いかけてみるのも楽しそう。

今も、いつか思い出に変わるから、「いまここ」への興味も忘れないで、時間を過ごそうと思う体験だった。

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