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渋谷の貧困ホームレスギャングMarkyさん〜中流家庭というコンプレックス〜

(冒頭)渋谷のルンペンギャング(?)Marky

カメラの照明を向けた先には顔面に刺青を入れてこちらを睨む若者が居た。 
見た目とは裏腹に気遣いや丁寧な物言いの彼に少し怯んでいると、渋谷の路地裏には喧騒を避けるようにドブネズミがゴミを漁りに右往左往していた。

まるで自慢するかのように薬物売買についてヘラヘラと語る彼を諭すように僕は、法を犯さずに生きる道を提示してみると少し迷い、そして真面目な道を模索したかのように返答すると その10分後にはまたヘラヘラと薬物売買について語っていた。

平成初期と終わらない日常

二人目のインタビュー対象と初めての待ち合わせの日、待てど暮せど彼は現れなかった。 
スマホを持っている人だったので、何度も連絡を入れたが既読もつかず、僕たちはただ新宿に降り出した雨が生ゴミの匂いを連れて流れていくのをただ見ていた。

「自分、渋谷のギャングなんですよ」
そう言ってヘラヘラしながら紙巻きのタバコをぺろぺろ巻いていた 
それが彼との出会いだった。

だいたいは、組織化された上でその存在が既得権益の組織外で独立しているものを第三者から他称されることで「ギャング」とかって生まれるんじゃないのか?  と、色々思考を巡らせていた。 

いきなりの自己紹介に面食らいながらも、「ギャング」と聞いて、勝手に家庭環境を想像してしまっている自分がいた。

きっと彼は、幼少期にひどい家庭環境で、
きっと彼は、義務教育課程で社会性を学ばず、
きっと彼は、同様の境遇のコミュニティで「与えられる」ことなく「奪う」ことでサバイブし、
きっと彼は、、

過去のnoteで路上生活になってしまうのは複合的な要因が絡み合ってそうせざるを得ないと僕は述べた。

みなさんは、病や貧困、複雑な家庭環境、その他「かわいそう」な境遇が根源にあってそうせざるを得ない人がほとんどだと想像していると思う。

嫌味な言い方になるが、そんな救いようの無い環境の話を期待して そしてそれで納得しようとこの動画をこのnoteを開いたんじゃないだろうか?
そんな僕たちと彼にかけられた呪いについて書いていこうと思う。(このテーマ長くなるからかいつまんで書く)

平成初期の呪い

29歳 渋谷ストリートギャングMarkyさん 
彼は平成4年1992年 平成初期に生を受けた。

平成初期 大人はみんな夢から覚めていた。
バブルが弾けて、冷え込んだ経済に絶望を、甘い汁を啜った代償に未来への希望は「平凡な日常」への回帰だった。

そんな中※ゆとり世代よろしく、子供達は大人の反省に付き合わされることになる。
※1987〜1995生まれの世代

これを責め立てるわけではない、いつだって教育は人類の失敗と反省で成り立っている。
そうやってアジテーションとアンチテーゼが生まれる事でカルチャーや価値観が醸成されるからだ。 

前時代をリセットし、一旦なかったことになっていたその「日常」は既に喪失した豊かな世界の既視感だけが残って日々に投影されていたのだ。

終わりのはじまり

その一方で終末と世界の終わりも隣接していた。 
阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件 ノストラダムスの大預言
バブル崩壊以前のコンテンツとしての終末はファンタジーではなくなった。
その尻目には核家族というシステムが終わり、そして経済と軍事のツインピークスに飛行機が突っ込んだ911
あらゆる終わりが始まりバブルという祭りを終わらせたく無い大人たちはひたすら踊ったのだった。 

中流であるというコンプレックス

彼と話していて感じるのは、中流であることの強いコンプレックスだ。 

前述のあらゆるリセットと終わりの時代に、生きることのギアが緩んだ。
サバイブすることや死ぬことを特別に感じる感覚である。 

爆発的に増えた「普通で良い」という中流家庭と平凡な日常に回帰する時代性、インターネットの普及で社会不適合のコンテンツ化 そのBGMには「NO1にならなくても良い、元々特別なONLY1」と繰り返されていた。 

日常からの脱却に想いを馳せる時にロールモデルにしがちなのは、アウトロー、海外のカルチャー、お金持ち、そして共通して「不遇な生まれ」からの成り上がりだ

親子関係はわからないが、決して貧しくなく平凡な家庭に生まれ育った彼は、自らアウトローのストーリーを「選択」したのだ。
大きく期待されること、肥大化した自己承認欲求が虚構の日常から羨望していた自分を作り出し、そのストーリーに狂酔している。 
チグハグな会話に違和感を覚えたのはこういった理由があったからなのかもしれない。

最後に

これはあくまでボクの勝手な妄想と社会分析だ
彼の現状を否定しているわけではない。 
ただ、法に触れる活動を決して肯定はしない。

これからも引き続き彼とはコンタクトをとろうと思う。 

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