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天才たちの日課

『161人の天才たちの「意外?」「納得!」な毎日の習慣。』
という帯を見て、読まないわけにはいかなかった!

「クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々」
というサブタイトルもふるっている。

ストラヴィンスキーは作曲に行き詰まると倒立をした?
金田一耕助みたい・・・。

気になる人の毎日のルーティンは、とても気になる。
noteで流れるような美しい文章を書く方は、一体何時ごろ書かれているのかしら?
そして、生活の背景や側にこんなものがあるかしら?などと一瞬想像して、
もしかしたら、だらしない服装では書いていないのかもしれないし、そばにあるカップはこんな感じで、そこには気に入ったハーブティが注がれていたりして・・・。
取りとめもなく美化が始まる。

しかし、人間はみな完璧ではない。
生活全てが美しかったり、波立たない日ばかりのわけがない。

小さい頃から、
「こんな時、あの人ならどう考えるかしら?」
と思う子どもだった。
伝記を読んで、なぜ、ここへ至ったのか?というわけが知りたい子どもだった。

そんなわけで、天才のルーティンが知りたくてたまらない私にこっそりと、内緒で教えてくれるような本だ。

2014年12月の初版で購入したので、随分日が経っている。
確か、義父母の住む家でお正月の前後1週間ほどを過ごすために、本を何冊か鞄に入れた。
その中の一冊だ。


161人の中に、好きな作家であるアリス・マンローも出てくる。
2人の子供を育てる中での執筆活動。
家事と子育ての合間に、細切れに書いていたという。
この二重生活のバランスが難しく、結果、小説を書き出してから20年後に出版となる。
切ない恋の話を書いていて、「ただいま!」と元気に子供が帰ってきたら、そうかもしれない。
それでも、私の頭の中には、女のアリス・マンローがずっと生きていたのだった。日々の生活のリアリティーのようなものは、後で自然な形で表現につながるのかもしれないと想像した。



詩人のW・B・イェーツは、

10時から11時まで読書。11時から2時までは執筆。それから昼を食べて、その後3時半まで読書。それがすんだら森へ行くか釣りをするかして5時まで過ごす。そのあと手紙を書いたり、少し仕事したりして、7時になると1時間ほど散歩して、そのあと夕食。

規則的に仕事をすることは、イェーツにとって、2つの意味で極めて重要だったという。
ひとつは規則正しいスケジュールがないと集中力がなくなってしまうから。
もうひとつは、彼がカタツムリのようにゆっくりとしたペースでしか仕事ができないから。


また、ドイツの作家ギュンター・グラスも面白い。
執筆は昼にするのか夜にするのかきかれたとき、「夜、書く。」と考えてぞっとしたらしい。

「ぜったいにありえない。夜書くなんて、いいこととは思えない。だって、あまりにも簡単に書けてしまうだろう。それを朝読んだら、うんざりするに決まってる。私は、太陽の光がないと始められない。午前9時から10時の間に本を読んだり、音楽をきいたりしながら、ゆっくり朝ご飯を食べる。そのあと仕事をして、午後、休憩してコーヒーを飲む。それから仕事を再開して、午後7時に終わる」

それぞれのペースで、それぞれの決め事で、綴られる毎日。
人間て、面白いなあ!と思いながら読んだ。


そう。お正月休み、嫁は忙しいのであった。
大人数のご飯を作って、駅伝を少しだけ横目で見たら、片付けて昼の用意をして、昼の片付けをしたら夕飯の献立を考えて買い物・・・それから。
その合間に2階に上がって読んだ。
子供に話しかけられて、
「外で遊んでいらっしゃい。」
とかなんとか言って、続きを読んだ。
その話を友人にしたら、
「そんな嫁、今どきいないよ。シンデレラみたいだね。」
と言われて驚いた。
私も、母を見ていた刷り込みで、自動的に動いていたのか。
日課は意識的に・・・。
本を読んだのに、気づいていなかった。









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