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南極の氷

「南極の氷で酒を飲んだんだよ。」
という魅力的なことを言う人がいた。

「溶けてプツプツ泡が出るとさ、これって、南極の空気なのかと思ったら、益々美味くなるよね。」

南極の空気。

一生、行くことがないだろう南極を思う。

その話をしてくれたのは、九州の風光明媚な島で育った人だ。
その方の同級生は、小さい時から南極にいくことを夢見ていたのだという。
そして、本当に南極に行く機会を得た。
そして、そこで亡くなられたのだという。
3ヶ月もかけて遺体が戻ってきた、と。

「それって、幸せと思っていいのかな。念願が叶ったとはいえ・・・。」

「幸せだったでしょ。ずっと南極に行くのが夢だったんだから。」


人生の折り返し地点を通過すると、これから何が出来て、何が出来ないのか?ふと考えることがある。
特別だと思っていた夢は、本当に叶わないものだろうか?
私の一番の夢って、なんだっけ?

20代の時の夢って、なんだっけ?

余分なことにまみれて機会を失ったり、
手にした途端に満足してしまって、継続していたら届くはずのところに到達できなかったこともある。

ある一つの『光』だけを、明るい気持ちで追い続けて、そこに到達することの凄さを感じたのだった。

執着ではなくて、ただ、夢として明るく追いかける。

信じていたら叶う、と人は言う。
しかし、信じ続けることが大事なんだ。
あたりまえのように、目の前に現れることを信じられるか。

命を賭しても叶えたい夢という浪漫がある人は、とても魅力的に輝くのではないかしら。
会ったこともない人を想像する。

逆説的になるけれど、道半ばにして・・・、なんて言われた有名な人も、実はその浪漫の中を生きていたとして。
そして、そのまま別の次元に行ってしまったような気がした。
自分が一番いたいと思う場所に、魂を置けること。

夢の続きは、別のところで叶えているような、すごく不思議な気持ちになった。



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