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スナックのチイママが、ストーカー化した客に刺されそうになった話

もう15年くらい前の事ですが、当時ちょっと仲良しで、よく飲みに行っていた友達が、勤務先のスナックの客に刺されそうになった話をふと思い出したので書きます。
ちなみに「一度のアドバイスで聞き入れてくれなかった人には、その後は何を言っても無駄なので、同じアドバイスは二度としない」という愚痴を書いている時に思い出しました。
だいぶ闇が深いので、事件ルポに慣れていない方は気分が悪くなるかもしれません。「苦手かな」と思われたらブラウザバックして逃げてください。


※注意!!! 暗い事件デス!!! ※注意!!! 暗い事件デス!!!
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準備は良いですね?
では、文体を改めて事件ルポを始めます(-ω-)/


【登場人物】
A・土建業。意志薄弱で気が弱い。孤独。
B子・スナックのチイママ。かなりの美人。
X・小規模の土建業の会社経営者。893っぽい。
Y子・スナックのママ。Xの愛人。50代。
私・B子の話を聞いただけ。無関係デス。


まず、事件の下地を説明する。

小規模土建会社の悪徳社長Xが従業員Aの給料を「おまえはバカだから給料を渡すと全部使っちまう。俺が管理して貯めておいてやる」と言って取り上げ、従業員Aの財産を自由に使う権利を侵害する犯罪行為(何罪か不明)をした上、悪徳社長Xは知人のお水ママY子に「これで1ヶ月飲ませてやってくれ」と給料の幾らかを渡して、従業員Aはお水ママY子の経営するスナックにしか遊びに行けない状態にされ、従業員Aのアパートの家賃と光熱費は悪徳社長XがAの給料から支払ってはいたものの、Aは食料や日用品を買う金にすら困窮し、生活すべてをXとY子に支配されていた事案。

あれ、思ってたより闇が深い(;´Д`)

私の元友人B子は、当時、従業員Aを搾取するお水ママY子のスナックでチイママをしていた。
従業員Aは、食事をする為にもお水ママY子のスナックを利用せざるを得ない状況だったが、しかし、XとY子はAが毎日スナックに行く事は許さず、Aは常に空腹を抱えた状態で仕事をするはめになり、拠り所はY子が経営するスナックだけになっていた。
その状況で、AがスナックのチイママB子に好意を抱くのは自然の摂理のようなものだろう。
従業員Aは自分が困窮している事と、XとY子にどんな扱いをされているかを、B子に切々と語ったらしい。
B子は、なぜか従業員Aを救う為に必要な事は何もしてやらなかった。
一応は、Aに「Xに給料を返してくれるように頼んでみたら」と勧めたらしいが、Aは「Xには恩があるし、恐いから言えない」と断った。
その時点で警察に行くべき案件なのだが、B子は「Aがそう言うなら」と放置する事にしたらしい。
その前後から、AはB子にしつこくメールを送るようになっていた。
「会いたい、声が聞きたい。B子ちゃんだけが俺の気持ちを分かってくれて、優しくしてくれる。B子ちゃんと話したいだけなんだ」
まるで見本のようなストーカー構文だが、B子は事の深刻さを理解していなかった。「会いたいなら店に来て」と、XとY子に金銭的にも精神的にも支配され搾取を受けているAの被害を助長するような事を言ってしまっていたのだ。AはB子に会いたいなら、Y子の店に行くしかない。益々Y子の経営するスナックに依存するようになり、XとY子はAへの支配を強める事になる。
おそらく、悪徳社長Xとお水ママY子は、従業員Aに支払われるべき給料を、アパートの家賃と光熱費とAに与えるほんのわずかな小遣いを除いて、すべて懐に入れていたと思う。
誰が考えてもそうだろう。
B子は、Aに対して、
「私に会うより、市役所の福祉課か、警察署の生活安全課に相談に行った方が良い」
と言うべきだったと思うのだが、やや専門的になる知識を素人のB子に期待するのは酷だと思う。
毎月、給料日前のAは、その日食うものにも困るほど困窮し、お水ママY子の店では「今月の分はもう飲んじゃったから店には入れられない」と言われて食べ物にありつけず、地獄を味わうのが恒例だったらしい。
その月の末も、Aはいつも通り困窮し、空腹と惨めさに苛まれ、唯一の味方と信じて恋していたB子に会いたい気持ちも募ったのか、常に無いほど追い詰められて、B子に異様なメールを送った。
私がB子から相談を受けたのは、その時である。
文面は忘れてしまったが、そのメールを見せられた瞬間、全身にゾワッと鳥肌が立った。
B子が刺される、と確信した。
こういう場合やられるのは、Aに酷い仕打ちをしていた主犯格の悪徳社長Xでも、共犯のお水ママY子でもなく、優しくしてくれた唯一の味方(甘えさせてくれる善女or善男)と被害者が信じている人物……つまり、このケースではB子なのだ。
「ちょっと待って、これ本気でヤバイよ。今すぐママに電話して店辞めるって言いな。今夜から出勤しちゃダメ。電話もメールも着拒して、なるべく早く電話番号とメアド変えた方が良い。あと、可能なら引っ越しな」
私はこの上なく真剣にB子に忠告した。
しかしB子は「そんな大袈裟な」と笑って取り合わなかった。
それどころがAを搾取している悪人であるお水ママY子に味方して、
「私が辞めるとお店に女の子がいなくなってママが困るから」
などと言うのだ。
「ああ、これはダメだな」と思ったが、当時の私はまだ諦めが足りなかったので、このメールを書いた人は心理的にかなり追い詰められているから、とか、このケースだと危ないのはB子なんだよ、とか、このままだと近日中に刺されるかも知れないよ、と必死に説明した。
「本当に刺されるまで行くかは分からない。でも、AはB子に危害を加えようとするほど追い詰められているんだよ。すごく危ないよ!!」
そこまで言い募ってもB子はどうしても聞き入れてくれなかった。
そして、翌日、Aは包丁を持ってお水ママY子の店の前に座り込んで、B子を待ち伏せしており、Y子が悪徳社長Xを呼び出して、AとXは睨み合いになり、その隙にB子が警察に通報する羽目になった。
Aは逮捕された。
幸い、AにはあくまでもB子(あるいはXやY子)を刺すという凶行を成し遂げるほどの凶悪性は無かったようで、包丁を持ってB子を待ち伏せするだけで済んだが、「AはB子に危害を加えようとするほど追い詰められている」という私の見立ては的中したのである。
『一度のアドバイスで聞き入れてくれなければ間に合わない』という事を私が学んだいちばん嫌な事件だった。
その後、誰も怪我をせず器物破損等の被害も無かった為、Aは釈放され(起訴されなかったのか、略式起訴を受けて科料されたのか、どちらか不明)、B子はさすがに一週間も経たないうちにお水ママY子の店を辞めて、搾取されていた従業員A・悪徳社長X・お水ママY子らとの関りは断ったようだが、哀れなAがXとY子から解放されたのかどうかは分からない。
私はB子への真剣なアドバイスを無下にされた事に失望し、今後はB子を信用できないと考えてしまい、B子とは距離を置いて疎遠になった。

B子には他にもアドバイスをしていた事がある。B子の父は内臓の病気で余命宣告をされていた。B子は「父が生きているうちに孫を抱かせてあげたい」と言って婚活をしていたのだが、B子の結婚観は歪んでいた。財産を手に入れる為に、まだ家を持っていない男性と結婚し(結婚後に購入した家でなければ離婚する際に財産分与の対象にならないので)父が亡くなったら子供を引き取って家を自分の物にして離婚する、という計画で、婚活サイトに登録しているB子の求める条件に合う男性とデートをし、その中の一人と結婚を前提に交際を進めていたのだが、私は「それはやめたほうがいい」とB子に忠告していた。
お父さんの告げられた余命から逆算すると、どう考えても、その時期から婚活をしても、孫を抱かせてあげるのは間に合わないと分かっていたし、離婚する計画の財産目当ての結婚で生まれるのでは子供も可哀想だ。
「愛情を持てない相手と結婚するくらいなら、結婚まで至らなくとも、本当に好きな人と付き合って、あなたが心から幸せな姿を、お父さんに見せてあげて、安心させてあげた方が親孝行だよ」
「ていうか、無理して婚活するより、その時間を使って、もっとお父さんと一緒に過ごしてあげたほうが良いんじゃないの」
等々、私が普通だと思う事をアドバイスした。
それらもB子には届かなかった。
程なくして、B子が結婚する前に、B子の父が亡くなったというメールが届いた。なんとなくキレているような雰囲気の文面で、私はそれ以上は厄介事に関わりたくなくて返信をしなかった。
(だから、余計な事をしていないで、お父さんの残り少ない大切な時間を、なるべく一緒に過ごせって言ったのに……)
「言っても無駄な人がいる」という事を私はつくづく思い知った。

  END

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