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「その時」にしか味わえない体験を逃さない。

「映画館で映画を観ること」を意識的にしないといけないと思うのは、映画というのは公開されている限られた時期にたくさんの人々に混ざってあの閉じられた空間で観るのと、数年後の再放送をテレビで観るのとでは感じとれる情報量がまったく違うからだ。

『スターウォーズ』は最新作を待ち焦がれていた人々と映画館で観るからこそ面白いし、『カメラを止めるな!』は今のブームの中で観るからこそ緻密に仕立てられた笑いの中に感動すら覚えることができる。


僕が新宿に『カメラを止めるな!』を観に行った日も、数百人は入るであろう映画館が満員で、始まる前から「これからこの社会現象を体験できる」という高揚感で満ちていた。

そしてエンドロールの後、しだいに明るくなる館内ではどこからともなく拍手が起こっていた。

映画館で拍手を聞いたのはそれが初めてだった。

出口を目指して団子のようになった人だかりの中で、余韻に浸るわけでもなく、考え込むわけでもなく、いたるところから興奮気味に感想を共有している声が聞こえていた。


ヒットする作品というのはどれもそうだけど、『カメラを止めるな!』もきっと今だからこそ、ここまで話題になったんだと思う。

SNSで口コミが広がりやすくなったことはもちろん、それらが人々の日常に当たり前に存在するようなって、「良かったものや面白かったものをシェアすることで自分も相手も満たされるような文化」が根付いてきたからかもしれない。

企業の形式ばった宣伝よりも個人の熱狂に人々が惹かれる時代だからこそ、日暮監督や真央の映画に対する熱狂に感染してしまったのかもしれない。


「その時」にしか味わえない体験を味わうことでその作品の魅力は一層増すし、それを体験することで自分自身の時代に対する感度が上がっていく。

それを楽しめるのが今の時代に生きている人々の特権だから、僕はとことんミーハーでありたいと思う。




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