気がつくのはたいてい変わってしまった後である。


何日か前に、とつぜん春がきた。なんだかうれしくなってしまって思わず外に出てしまったけど、ほんの数年前まではだんぜん冬のほうがすきだったのにおかしな話である。

あれだけ長い夜が好きだったのに、今は朝が長いほうが好きだというのもそうだ。そもそもなんで夜が好きだったのかというのも、中学生のときに深夜のテレビ番組をみていたからだ。高校生のときに自転車でこっそり彼女に会いに行っていたからだ。大学生のときに朝までやってる居酒屋でくだをまく始発までの時間が好きだったからだ。

大人になると、たいていの悪さは悪さじゃなくなる。夜更かしだって・デートだって・お酒を朝まで飲むことだって「どうぞご自由に」といった感じである。そうなると、とたんにみんなまじめになる。もちろん自分も「明日の仕事が...」とか言って一足先に帰るようなおとなになってしまった。あの頃の「悪さ」というのはなんともいえない魔力があったのだ。

自分が変わってしまったと気づくのは、たいてい変わってしまった後である。あの時は楽しかったことに気づくのも、たいてい変わってしまった後である。

でも、あたたかい春が待ち遠しくなることも・朝の時間をゆっくり過ごすことも。きっと今しか感じられない楽しみである。ずっと変わらないよりも、変わっていくほうがたくさん楽しみがある気がするんだ。


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